米国各州の共和党主導の州議会で、気候変動の影響を理由とした油ガス企業への訴訟を事実上不可能にする法律が相次いで成立または審議されている。11州で15の法律が成立または検討中で、企業の責任追及を困難にする動きが加速している。

「気候訴訟」封じの狙い

これらの法律は、化石燃料企業が気候変動リスクを消費者に説明しなかったとして、州や自治体が起こした30以上の大規模訴訟を阻止する目的で制定されている。具体的には、企業の排出責任を問う訴訟の新規提起や進行を法的に阻止する内容となっている。

保守系団体による「法的免責戦略」

調査によると、これらの法律は保守系活動家レナード・レオ氏と関係の深い団体が主導していた。レオ氏は米国最高裁判事の任命に関与したとされる人物で、同氏の資金的・人的ネットワークを通じて、複数の団体が連携して法案を起草し、議員への働きかけを行っていた。

2023年12月に開催された「米国立案交換評議会(ALEC)」の年次総会では、この戦略が具体的に議論された。「気候訴訟はエネルギー企業に新たな税を課すリベラルの戦略」との主張が展開され、消費者団体「Consumers’ Research」のウィリアム・ヒルド代表は、判決が市民の生活費負担を増大させると警告した。

「生活費への悪影響」を強調

別のパネリストであるアリゾナ州元法務長官オラメル・スキナー氏は、「判決がトラックや牛肉購入など、市民の選択肢を制限する」と主張。さらに、「企業の免責が消費者の負担につながる」との見解を示した。

ロビー活動の実態

調査報道機関「ProPublica」の分析によると、これらの団体は議員へのロビー活動や法案の草案提供を通じて、州レベルでの法整備を推進。25州のロビー活動記録や複数団体の税務開示書類を精査した結果、レオ氏とつながりのある団体が気候排出に関する法的責任を回避するための全国的戦略を展開していたことが判明した。

企業免責の背景と今後

この動きは、化石燃料企業が気候変動への責任を回避するための「法的防壁」を強化するものとみられ、環境団体や被害を受けた自治体からの反発が予想される。今後、州レベルでの法廷闘争や連邦レベルでの規制強化が注目される。

出典: ProPublica