米国最高裁判所は4月1日、中絶薬ミフェプリストンの郵送配布を一時的に認める決定を下した。これにより、医師やクリニックへの対面診察を義務付ける下級審の制限が撤回された。同判断は、5日にテキサス州の連邦第5巡回区控訴裁判所が下した、ミフェプリストンの郵送配布を禁止する判決を覆すものとなった。
当事者双方には、今後1週間の反論期間が与えられ、その後最高裁がさらなる審議を行う見通しだ。第5巡回区控訴裁判所の判決は、トランプ前大統領が任命したカイル・ダンカン判事が率いる3人制の審判官により下された。この判決は、2000年の米食品医薬品局(FDA)によるミフェプリストンの承認や、2024年の最高裁判決(ミフェプリストンへのアクセス保護を全会一致で支持)を含む長年の判例を覆すものとなった。
ルイジアナ州の訴訟が背景に
今回の判決の背景には、ルイジアナ州が起こした訴訟がある。同州は、ミフェプリストンの郵送配布が州の abortion bans(中絶禁止法)に違反すると主張していた。ダンカン判事は判決文で、「FDAの措置により行われるあらゆる中絶は、ルイジアナ州の医療中絶禁止法を無効にし、同州の『受胎の瞬間から胎児は人間であり、法的権利を有する』という政策を損なう」と述べた。
保守派判事の動向に注目
最高裁の判事サミュエル・アリートは、最も保守的な判事の一人として知られており、今回の決定は必ずしもミフェプリストン支持の表れではないとみられている。アリートは下級審の判決に対する一時的な差し止めを1週間に限定しており、通常であれば無期限の差し止めを行うことが多い。最高裁は保守派6人、リベラル派3人の構成となっており、アリートは今回の差し止めを「時間稼ぎ」として利用している可能性がある。今後、ミフェプリストンそのものの全面禁止に向けた動きが加速する可能性も指摘されている。