米国の選挙区改定(リディストリクト)を巡る攻防が激化している。2023年11月7日、バージニア州で行われた選挙区改定の住民投票で民主党が勝利し、同州の議席配分が民主党有利に転換された。これにより、2024年の中間選挙で民主党が下院議席を1議席増やす可能性が出てきた。
選挙区改定は、古くから米国政治の「常套手段」として知られる。しかし近年、その手法はますます巧妙化し、党派間の対立を激化させている。2019年には連邦最高裁が「党派的選挙区改定は司法審査の対象外」との判断を下し、2023年夏にはトランプ前大統領がテキサス州の共和党議員に対し、2026年の中間選挙に向けた選挙区改定を指示した。これを受け、テキサス州では共和党が新たな選挙区を策定し、5議席の獲得が見込まれている。
これに対抗する形で、カリフォルニア州では民主党寄りの選挙区改定が実施され、5議席が民主党に転じる見込みだ。バージニア州でも同様の動きがあり、従来6対5で民主党有利だった議席配分が、新たな選挙区改定により10議席で民主党有利に転換された。これにより、民主党は中間選挙で下院の議席奪還に向けた足掛かりを得た。
民主党の逆襲と選挙区改定の実態
バージニア州の選挙区改定は、民主党にとって「歴史的勝利」と言える。同州は2000年以降、大統領選挙や知事選挙で民主党が優勢だったが、州知事が共和党のグレン・ヤンキン氏であったため、選挙区改定の行方は予断を許さなかった。また、選挙キャンペーンでは両党のメッセージが混乱を招き、独立系有権者の反発もあった。それでも、リッチモンドやバージニアビーチ、ワシントンDC郊外といった都市部の民主党支持層が結集し、改定案は可決された。
カリフォルニア州やミズーリ州、ノースカロライナ州、オハイオ州、ユタ州でも選挙区改定が行われ、民主党に有利な議席配分が進んでいる。これにより、民主党は中間選挙で下院の議席を1議席増やす可能性が出てきた。しかし、選挙区改定の攻防はまだ終わっていない。
次なる焦点はフロリダ州
中間選挙の候補者指名が既に始まっている中、選挙区改定を巡る党派間の攻防は時間との勝負だ。特に注目されるのがフロリダ州で、ロン・デサンティス知事が2023年夏から選挙区改定に向けた動きを進めてきた。しかし、共和党内の対立や準備不足により計画は遅れており、実現の見通しは不透明だ。
選挙区改定は、民主主義の根幹を揺るがす問題として議論を呼んでいる。党派的な選挙区改定は、有権者の声を公平に反映しないだけでなく、選挙の結果を操作する手段として悪用される危険性がある。専門家は、選挙区改定の透明性と公平性を確保するための仕組み作りが急務だと指摘している。