米国のDOGE(政府効率化部門)による大規模な支援削減政策が、世界の公衆衛生に深刻な打撃を与えている。その象徴的な事例が、バングラデシュで現在進行中の麻疹大流行だ。

英ガーディアン紙によると、3月から始まったこの流行で、これまでに100人以上の子どもが死亡し、900人以上の感染が確認されている。特に9カ月を超える乳幼児が全体の3分の2を占め、この年齢層は麻疹ワクチン接種の対象年齢にあたる。国連の支援により緊急ワクチン接種キャンペーンが開始されたものの、多くの家庭ではすでに手遅れとなっている。

ワクチン在庫不足が招いた健康危機

この公衆衛生の崩壊の背景には、ワクチン在庫の深刻な不足がある。その原因の一つが、DOGE主導による米国国際開発庁(USAID)への支出削減だ。USAIDはバングラデシュの医療プログラムに多額の資金を提供してきたが、削減により結核検診や公的産科クリニックなど、幅広い医療サービスが閉鎖に追い込まれた。

「特に心配しているのはワクチン接種プログラムです。中断があれば、これまで達成してきた免疫獲得の成果がすべて失われてしまうでしょう」

— バングラデシュ暫定政府の保健顧問ヌルジャハン・ベグム(当時)

フランス24紙の報道によると、USAIDはバングラデシュの230万人の子どもに対するワクチンアクセスを支援しており、麻疹だけでなくジフテリア、ポリオ、破傷風などの予防にも貢献していた。

USAID支援額の激減が招く世界的な健康リスク

USAIDのバングラデシュ向け支援額は、2024年には3億7100万ドルに達していたが、2025年には2億8800万ドルに、そして2026年にはわずか2400万ドルまで削減される見通しだ。さらに、既に約束されていた120万ドルの資金が、バングラデシュから回収される可能性も指摘されている。

バングラデシュは決して例外的なケースではない。戦略国際問題研究所(CSIS)によると、USAIDの支援額の85%が削減されており、その結果、世界で最も貧しい国々で数十万人の回避可能な死が引き起こされる可能性があるという。DOGE自体はすでに廃止されたが、その削減政策がもたらす影響は今後数年にわたって続くことになる。

世界的な公衆衛生の危機

この状況は、米国のグローバルヘルスへのコミットメントが大きく後退したことを示すものだ。特にワクチン支援の削減は、麻疹やポリオなどの感染症が再流行するリスクを高め、世界的な公衆衛生の安定に深刻な脅威となっている。専門家らは、今後数年間でさらなる感染拡大と死亡者の増加が懸念されるとしている。

出典: Futurism