ブランド再興を目指すインフィニティの新戦略

インフィニティは、ブランドの存在感を取り戻すための大胆な計画を推進中だ。その一環として、後輪駆動のスポーツセダンやラグジュアリーSUVの開発に注力している。しかし、その本命がデビューする前に、まずは一般層にアピールする必要があった。そこで投入されたのが、QX60の汎用性を凝縮した5人乗りクロスオーバーSUV「QX65」だ。

QX65の基本スペックと価格帯

QX65は2024年夏に販売が開始され、価格は5万5,535ドルからスタートする。ムラーノと同じプラットフォームを採用し、2.0L VCターボエンジンを搭載。268馬力、286lb-ftのトルクを全輪に送り出す。トランスミッションは9速ATで、レスポンスの良いパワーデリバリーと「スポーツ志向のシフトパターン」を特徴としている。

グレード別装備の違い

  • Luxeグレード(標準仕様):サンルーフ、プロパイロット(運転支援システム)、12.3インチのメーター&インフォテイメントディスプレイを標準装備。
  • Sportグレード(+1,700ドル):ベンチレーテッドシート、16スピーカーのKlipschサウンドシステム、3D全周囲モニターを追加。インフィニティはこのグレードが最も人気を集めると予想している。
  • Autographグレード(+8,600ドル):21インチホイール、セミアニリンレザー、マッサージ機能付きシート、ヘッドレストスピーカー搭載のプレミアムオーディオ、ヘッドアップディスプレイ、専用のワインレッドインテリアカラーを採用。内装の完成度は高いが、価格も大幅に上昇する。

デザイン:洗練されているが際立たない

QX65のデザインは内外ともに洗練されているが、際立った個性には欠ける。インフィニティは旧FX45の魂を継承したい意向だったようだが、長いボンネットと低く広いスタイルを持つFX45の特徴は再現されていない。多くのクロスオーバーSUVと同様に、ブラックルーフやサイドシルを採用し、スリムなシルエットを演出している。唯一の例外は「サンファイヤーレッド」と呼ばれるペイントで、金粒子が光を反射して美しい仕上がりを見せる。

インテリア:タッチキーは便利だが、物足りなさも

インテリアでは、エアコンの操作に物理的な入力が少なく、大きくラベル付けされたタッチ式のボタンが並ぶ。実体スイッチが理想だが、少なくともタッチスクリーン上の小さなアイコンをタップする手間は省ける。同僚のカレブが試乗したムラーノと同様、物理的な操作性には改善の余地がある。

走りの実力:見た目だけの「ショー」に終わる?

QX65は、そのスタイリッシュな外観と充実した装備で注目を集めるが、走りの面では「見せる」だけに留まる可能性が高い。エンジン出力やトランスミッションのレスポンスは申し分ないが、実用性や快適性を重視したチューニングが施されているため、スポーツカーのようなダイナミックな走りは期待できない。インフィニティが目指すのは、あくまで「高級クロスオーバーSUV」としての地位確立だ。

「QX65は、見た目こそ美しいが、走りの面では『ショー』に過ぎない。しかし、その役割は十分に果たしていると言えるだろう。」

まとめ:ブランド再興の第一歩となるか

QX65は、インフィニティが目指す「ブランドの再興」という大きな戦略の第一歩に過ぎない。見た目と装備の充実度は高く、一般層にも受け入れられやすいモデルとなっている。しかし、走りの面では「見せる」だけに留まる可能性が高く、今後発表されるであろうスポーツセダンやラグジュアリーSUVに期待が高まる。QX65は、インフィニティが目指す「高級クロスオーバーSUV」の地位を確立するための重要な一歩となるだろう。

出典: The Drive