DeFiプラットフォームAaveが緊急申請
分散型金融(DeFi)プラットフォームAaveは、2024年4月に発生したKelp DAOハッキングで奪還された7100万ドル相当のイーサリアム(ETH)を差し押さえようとする法的措置に対し、ニューヨーク南部地区連邦地裁に緊急の取り消し申請を行った。
同社は、この差し押さえ命令が「無実の第三者」、すなわちハッキングの影響を受けたAaveのユーザーに直ちに悪影響を及ぼしていると主張。法律事務所Gerstein Harrowが5月1日に差し押さえ命令を申請し、奪還された資金が「潜在的な差し押さえ対象」であるArbitrumによって北朝鮮の財産であると主張していた。
北朝鮮資金説にAaveが反論
Gerstein Harrowは、奪われた資金が北朝鮮の財産であり、未払いの損害賠償金の回収を目的としていると主張。しかしAaveは、この理論を「論理、常識、そして法に反する」と強く批判した。
同社は、この主張を「幼稚園の「拾った物は自分の物」という考え方」に例え、さらに「たとえそうであっても、Arbitrumブロックチェーンのコミュニティが所有権を有しており、北朝鮮ではない」と指摘した。
Kelp DAOハッキングの経緯
2024年4月18日に発生したKelp DAOハッキングでは、LayerZeroのブリッジングインフラが悪用され、2億9000万ドル相当のrsETHが不正発行された。ハッカーは北朝鮮のラザルスグループ(オンチェーン上でBybitやBTC Turkのハッキングとの関連が指摘されている)と疑われており、奪ったrsETHを担保にAaveで2億3600万ドル相当のWETHを借り入れた。
これにより、Aaveは部分的に裏付けのない担保に対して融資を行ったため、1億2400万ドルから2億3000万ドル相当の不良債権に直面する事態となった。
Arbitrum Security Councilによる救済措置
Arbitrum Security Councilは、ハッキングに関連するアドレスに保管されていた3万766ETHを凍結する緊急措置を実施。法執行機関との協議のもと、ハッカーの特定に向けた調査が行われた。
その後、DeFi Unitedは奪還された資金を活用してrsETHの再裏付けを行い、ハッカーのポジションを強制清算する計画を立てていたが、Gerstein Harrowの法的措置により頓挫した。
Gerstein Harrowの法的戦略と批判
Gerstein Harrowは、暗号資産業界において「救急車泥棒よりも悪い」と批判されることが多い法律事務所だ。暗号資産セキュリティ専門家のTaylor Monahan氏は同社を「詐欺的なカモを狙う輩」と表現し、他人の成果を利用して報酬を得ようとしていると非難した。
また、ブロックチェーン調査員のZachXBT氏は、同社が26年前の被害者を対象とした訴訟で、暗号資産やハッキングとは無関係の資金を狙っていると指摘。同社の手法を「捕食的」であると批判した。
これまでにGerstein Harrowは、暗号資産プロジェクトに対して数多くの訴訟を起こしており、北朝鮮に関連する資金の差し押さえを繰り返し試みている。
今後の展開
ニューヨーク南部地区連邦地裁のMargaret Garnett判事は、5月6日にリモートでの審議を開催し、今回の法的措置の是非について審理を行う予定だ。