インディアナポリス発 — NCAAは4月6日、男子・女子バスケットボールトーナメントを2027年から76チームに拡大することを発表した。これにより、既存の「ファーストフォー」が8チーム増の6試合となり、正式な1回戦前に行われる予選ラウンドが大幅に拡充される。
しかし、この拡大策は多くの関係者から批判を浴びている。新フォーマットでは、2026年の予選枠が事実上消滅し、オクラホマ、オーバーン、インディアナ、シンシナティ、サンディエゴ州立大学など、シーズン勝率5割前後のチームが出場権を獲得する事態となった。これにより、トーナメントの質が低下し、美しいトーナメント表の美観も損なわれることが懸念されている。
観客や選手からの反発
新しいトーナメント表が公開されると、ファンや専門家から「醜い」「水増しだ」といった声が相次いだ。特に、予選ラウンドの拡大により、本来のトーナメントの魅力が失われつつあるとの指摘が多い。
「76チームへの拡大は、既に過剰とされていたトーナメントをさらに膨らませるだけだ。選手やファンの意見は二の次で、金儲けが目的なのだろう」
— NCAA関係者のコメント
NCAAの真の狙い:放映権料の最大化
NCAAのダン・ガビット上級副社長は、拡大の理由について「76チームが現実的な上限だ」と述べつつも、その背景には放映権料の増収があったことを認めた。
「76チームという規模は、現行のスケジュール内で最大限の価値を引き出すための最適解です。さらにチームを増やすと、スケジュールの調整が困難になり、コストも膨らみます。しかし、8つの新しいチームと8つの新しい試合がもたらすメディア価値は計り知れません」とガビット氏は説明した。
実際、2026年のトーナメント放映権料は初めて10億ドルを超え、CBSとワーナー・ブラザース・ディスカバリー(TNT、TBS、TruTV)からの収入が大幅に増加した。現在の放映権契約は2032年まで有効であり、NCAAは今後もトーナメントの拡大を続けることで、さらなる収益増を目指す方針だ。
ガビット氏は「拡大は放映権契約なしには実現しなかった」とも述べたが、その発言は皮肉と受け取られている。トーナメントの拡大に伴い、チームの移動費や日当、試合運営費などのコストも増加する一方で、その負担は選手やファンではなく、放映権収入によって相殺される構図となっている。
選手やファンの不満は無視されたのか
今回の拡大決定に際し、選手やファンからの意見はほとんど反映されなかった。特に、予選ラウンドの拡大により、シーズンを通して安定した成績を残したチームが予選で敗退するリスクが高まり、トーナメントの公平性が損なわれる懸念が強まっている。
一方で、NCAAは「より多くのチームに出場機会を与える」と主張しているが、その実態は商業主義の追求に他ならない。今後、トーナメントの質や魅力がさらに低下する可能性も否定できない。