米オハイオ州トレドは「グラスシティ」の愛称で知られる、ガラス産業の歴史が深い街だ。その地で活躍するアーティスト、コリー・シェラー(53歳)は、ガラス管を曲げて作るネオン彫刻で独自の世界を切り拓いている。

シェラーの作品は、曲げられたガラス管にネオンまたはアルゴンガスを封入し、数千ボルトの高電圧で発光させる。日中は新しいネオン看板の制作や、 vintage(ヴィンテージ)ネオン看板の修復を手掛ける一方で、余暇には自動車をモチーフとしたネオン彫刻を制作している。電源が入っていない状態でも圧倒的な存在感を放つ作品だが、電気が流れると鮮やかな光を放ち、その輝きはまさに圧巻だ。

シェラーの芸術的才能は幼少期から発揮されていた。8歳の頃には裏庭で看板の絵を描くのが好きだったというが、本格的にネオンと向き合うようになったのは10代後半の頃だった。義父の勧めで、デトロイトでネオン看板を制作していたサム・パリスのもとで修業を始めたのだ。

シェラーは当時を振り返り、「19歳の頃、義父に『ネオンを学べば、ピザ一切れの金くらいは常に稼げる』と言われました。それでバドワイザーの12缶×2パックとビデオカメラを持ってサムのもとを訪ねたんです。その後4年間、彼のもとを離れませんでした。彼の倉庫にあるプール台で寝泊まりしながら、昼は仕事、夜は火を扱う作業を許してもらいました。トレドのネオン職人たちは技術を教えてくれませんでしたが、ミシガンに行ったおかげでサムと友人になれ、 mentor( mentor)として支えてもらえました」と語っている。

修業を終えたシェラーは、故郷トレドの北側に自身の工房Bent Custom Neonを開業。数年前の感謝祭直前、フェイスブックでガラスの泡を吹く技術を披露する動画を投稿したところ、わずか数日で100万回以上の再生回数を記録。その後、フェイスブック、インスタグラム、ユーチューブでフォロワーを急増させ、今では世界中のファンから注目を集める存在となった。

2023年、シェラーと妻のステファニーは、デトロイト・オートラマに招待された。同イベントは、米国屈指のカスタムカーショーで、最高賞のリドラー賞を競う一大イベントだ。シェラーは、ネオンで作られたジープ1967年式シェルビー・マスタングを出展。その圧倒的な輝きは、高額なカスタムカーを抑えて観客の注目を集めた。

同イベントの審査員長を務めるケニー・ダグラス氏は、シェラーの作品を目にした際の驚きをこう語る:「信じられない光景でした。動画を4、5回も繰り返し見ました。本当に驚くべき作品です」

シェラーの作品は、単なるネオン彫刻を超えた存在となっている。その独創性と技術力は、今後ますます世界中の注目を集めることだろう。

出典: Hagerty