暗号資産(仮想通貨)取引所大手のコインベースは、AI(人工知能)の導入と市場環境の悪化を理由に、全社員の14%に相当する約700人のレイオフを発表した。同社のCEO、ブライアン・アームストロング氏は11日、X(旧Twitter)に社内メールの全文を投稿し、その経緯を説明した。

アームストロング氏はメールで「現在の市況は厳しく、コスト構造の見直しが必要だ。これにより、よりスリムで迅速、効率的な組織として次の成長フェーズに備える」と述べた。同氏はまた、中間管理職の削減を通じて、組織の階層を最大5層にまで圧縮し、リーダー層の直下に最大15人の部下を配置する「フラットな構造」への移行を明らかにした。

さらに、コインベースは「AIネイティブな人材」の採用に注力するとともに、エンジニア、デザイナー、プロダクトマネージャーの業務を1人で担う「一人チーム」の実験も開始する。アームストロング氏は「AIが中間管理職の役割を代替し、コスト削減と業務効率化を実現する」と強調した。

AI導入で相次ぐ人員削減、他社の動向

コインベースに限らず、AI導入を理由とした人員削減は業界全体で広がりを見せている。Meta(旧フェイスブック)は今月、全社員の10%に相当する人員削減を発表。CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は、AIへの投資拡大と米国のイラン戦争による販売不振が要因と語った。また、Snapは先月、AIの進展を理由に16%の人員削減を発表。Block(旧スクエア)は2月に従業員数を1万人から6000人に削減し、CEOのジャック・ドーシー氏はAIが中間管理職を代替するとの見解を示した。

レイオフの対象者に対する補償

アームストロング氏は、レイオフの対象となった米国在住の従業員に対し、基本給の16週間分に加え、勤続年数に応じて2週間分の追加支給を行うと説明。さらに、就労ビザ保持者には「追加の移行支援」を提供すると述べた。

アームストロング氏の社内メール全文

【社内メール全文】

チームの皆さんへ、

本日、コインベースの規模を約14%縮小するという困難な決断を下しました。なぜ今この決断を下したのか、影響を受ける方々にとって何が変わるのか、そして今後の展望について説明します。

なぜ今なのか

現在、2つの要因が同時に発生しています。私たちはこれらに迅速に対応する必要があります。

1. 市場環境:コインベースは資本力があり、収益源も多様化しています。暗号資産は安定コインや予測市場、トークン化など次なる普及段階にあります。しかし、四半期ごとの業績変動は依然として激しい状況です。過去のサイクルを乗り越えてきた経験から、現在はコスト構造の見直しが必要だと判断しました。これにより、よりスリムで迅速、効率的な組織として次の成長フェーズに備えます。

2. AIの進化:AIは私たちの働き方を根本から変えつつあります。

今後の展望

この決断により、コインベースは以下の変革を進めます。

  • 組織の階層を最大5層に圧縮し、フラットな構造へ移行
  • 中間管理職の削減により、リーダー層の直下に最大15人の部下を配置
  • 「AIネイティブな人材」の採用と「一人チーム」の実験的導入
  • AIが中間管理職の役割を代替し、コスト削減と業務効率化を実現