世界的なエネルギー大手のシェルは、2025年の第1四半期に約70億ドルの純利益を計上し、前四半期(2024年第4四半期)の33億ドルから2倍以上に増加した。しかし、この利益拡大は消費者にとっては痛みを伴う結果となっている。
米国のガソリン平均価格は1ガロン当たり4.558ドルに達し、ディーゼルは過去最高の5.816ドルにわずか14.2セント差まで迫っている。これは昨年の同時期のガソリン価格3.154ドルと比較すると、33%もの急騰だ。
シェルのCEOであるワエル・サワンは、最近の「世界的なエネルギー市場の前例のない混乱」に言及し、利益拡大の背景にある地政学的要因を示唆した。特に、イラン情勢の緊迫化が原油価格の高騰を招いている。
投資家向けの動きと株価の反応
シェルは第1四半期の調整後利益が69億ドルに達した一方で、30億ドル規模の自社株買戻し計画を発表し、配当金を5%引き上げることを決定した。これにより、株主は1株当たり0.3906ドルの配当を受け取ることになる。しかし、この発表後、同社の株価は3.39%下落した。
シェルは中東地域(特にオマーン)での生産が全体の20%を占めるものの、紛争の影響で一部の資産が稼働停止に追い込まれていることを明らかにした。
批判の声と環境団体の抗議
消費者や環境団体からは、シェルの利益拡大に対する批判が相次いでいる。グリーンピースUKは、同社のロンドン本社ビルにプロジェクターを使ってメッセージを投影し、抗議活動を行った。
「シェルの利益は、トランプ前米大統領によるイランへの違法な戦争開始以降、2倍に膨れ上がった。数千人が死亡し、地域が不安定化する中、同社は数十億ドルを稼ぎ出し、私たちのエネルギー代と生活費は高騰している。シェルや他の石油大手は、まさに『戦争利得者』だ」
同団体はさらに、シェルの利益に対する課税を求め、「生活費危機や気候変動の影響に苦しむ家庭を支援する」よう呼びかけた。
戦争のタイミングと市場への影響
ただし、イラン戦争は2025年2月28日に勃発したばかりであり、第1四半期の後半に限定された出来事だった。それでも、原油価格は急速に上昇し、現在も高水準で推移している。
エネルギー市場の混乱は今後も続くとみられ、消費者の負担はさらに増加する可能性がある。