データセンターの「聞こえない騒音」が住民を悩ませる

データセンターの急増に伴い、自治体や住民の間で新たな騒音問題が浮上している。その中心にあるのが、人間の耳には聞こえない低周波音「インフラサウンド」だ。この振動は地震や火山活動と同じメカニズムで発生し、空調システムや冷蔵庫、さらには大型冷却ファン、発電用タービンなどからも放出される可能性がある。

インフラサウンドとは何か?

インフラサウンドは、周波数が20Hz以下の音波で、人間の可聴域をはるかに下回る。地震や爆発、ジェット機のソニックブームなどで発生するほか、データセンター内の大型機器や冷却装置からも微弱な振動として放出される可能性がある。一部の研究者は、これが健康に悪影響を及ぼす可能性を指摘している。

注目を集める動画と論争

この問題が注目を集めるきっかけとなったのが、音響エンジニアのベン・ジョーダン氏がYouTubeに投稿した動画だ。同動画は100万回以上再生され、データセンターが「音響兵器」のように機能し、周辺住民に健康被害を与えていると主張している。これに対し、効果的功利主義者の作家アンディ・マズリー氏が反論し、インターネット上で論争が巻き起こった。

科学的根拠は未確定

ただし、インフラサウンドが公衆衛生に与えるリスクについては、科学的なコンセンサスはまだ得られていない。専門家らはさらなる研究の必要性を指摘しており、これまでの研究では、インフラサウンドが「幽霊を見た」といった現象に関連しているとの報告もある。また、かつての「電磁波過敏症」騒動との類似性も指摘されている。

過去の類似騒動との比較

過去には、送電線や太陽光発電設備に対する「電磁波過敏症」の懸念が広がった。ニュージャージー州では、RFK Jr.支持者が洋上風力発電の送電線設置に反対し、同様の主張が繰り広げられた。こうした経緯から、米国保健社会福祉省の長官は昨年12月、データセンターから発生する騒音や電磁波について、保健当局に包括的なレビューを要請した。

今後の展望と課題

データセンターの拡大は今後も続くと見られ、インフラサウンドに関する議論はさらに活発化する可能性がある。自治体や企業は、住民の不安に対応するため、透明性の高い情報開示と科学的な検証が求められる。一方で、科学的根拠が不十分なまま不安が広がることで、無用な対立が生じるリスクもはらんでいる。