米国のメディア界を一変させた伝説的実業家で慈善家のテッド・ターナー氏が、2024年12月27日(水曜)に87歳で死去した。ターナー氏の半生は、成功と挑戦に満ちた波乱万丈の人生だった。

ターナー氏の最大の功績は、1980年に世界初の24時間ニュース専門チャンネル「CNN(Cable News Network)」を設立したことだ。それ以前から、父親が経営していた広告代理店を基盤に、1960年代後半にジョージア州アトランタを拠点とするテレビ局「WTCG」を買収。1970年には全米初の衛星を活用した「スーパーステーション」としてWTBSを立ち上げ、全米に番組を配信する基盤を築いた。このネットワークは、後にCNNの成功へとつながる礎となった。

スポーツ界への影響:ブレーブス、ホークス、WCW

ターナー氏の遺産はメディアだけにとどまらない。スポーツ界でも大きな足跡を残した。1976年にアトランタ・ブレーブス(MLB)とアトランタ・ホークス(NBA)を買収。特にブレーブスでは、自社のテレビ局WTCGを通じて試合中継を全米に放送し、チームの知名度と価値を飛躍的に高めた。

その象徴的な出来事が、1977年5月11日の「一夜限りの監督経験」だ。当時のブレーブスは開幕から8勝21敗、16連敗中と絶不調だった。ターナー氏はこの日、監督のデイブ・ブリストルに10日間の休暇を与え、自らが指揮を執る決断を下した。当時のエース投手フィル・ニークロは、この出来事を後にこう振り返っている。

「打撃練習を終えてバットケージの後ろに来た時、ターナーがバットケージの後ろに立っていたんです。冗談めかして『ターナー、今日のポジションはどこ?』と聞くと、彼は笑って『監督だ』と答えたんです」
— フィル・ニークロ(当時のブレーブス投手)

ターナー氏はこの試合に勝利し、一夜にして「監督」としての歴史を刻んだ。ただし、この行為はMLBコミッショナーのボウイ・キューンから「契約妨害」とみなされ、シーズン中の出場停止処分を受けることとなった。ターナー氏はこの処分に対し法廷で争い、最終的に勝利を収めたものの、チーム運営に対するターナー氏の情熱と独創性が垣間見える出来事となった。

プロレス界への挑戦:WCWの設立

スポーツ界への関与は野球やバスケットボールにとどまらず、プロレス界にも及んだ。1990年代初頭、ターナー氏は「ワールド・チャンピオンシップ・レスリング(WCW)」を買収。当時のWWF(現WWE)と激しい視聴率争いを繰り広げ、一時代を築いた。WCWの黄金期には、ハルク・ホーガンやリック・フレアーといったスーパースターを擁し、全米のプロレスファンを熱狂させた。

慈善活動と環境保護への貢献

ターナー氏は実業家としての成功だけでなく、慈善活動や環境保護にも力を注いだ。1997年には「ターナー財団」を設立し、環境保護や核軍縮、教育分野への支援を積極的に行った。また、国連世界食糧計画(WFP)への多額の寄付でも知られ、2001年には国連から「世界食糧賞」を受賞している。

ターナー氏の死去に伴い、米国のメディア界とスポーツ界に与えた影響の大きさが改めて注目されている。その半生は、挑戦と革新の連続であり、後世に多大な影響を与え続けるだろう。

出典: SB Nation