米大手投資銀行モルガンスタンレーは4月8日、ニューヨーク証券取引所アーケイアにスポット型ビットコインETF「MSBT」を上場させた。同社はMSBTを「米国の銀行系資産運用会社による初の暗号資産ETP」と位置づけ、スポンサー手数料を0.14%に設定した。これはビットコインETPとしては最低水準の手数料だ。

4月16日までのデータによると、MSBTの累計純流入額はわずか7取引日で1億1600万ドルに達した。同社の2023年12月31日現在の運用資産総額1.9兆ドルと比較すると、その割合は0.006%に過ぎない。仮にこの水準で資産が維持された場合、年間の総収益は約16万2400ドルにとどまる計算となる。

しかし、MSBTの注目すべき点は競争環境における存在感だ。同ETFは1取引当たり平均1660万ドルの純流入を記録し、同じくFarside Investorsのデータで累計8600万ドルの流入にとどまる競合「BTCW」を上回った。乱高下が続くビットコイン市場への参入としては異例の快挙であり、すでにIBIT(ブラックロック)の643億ドル、FBTC(フィデリティ)の108億ドルに続く存在感を示した。

銀行系ETFの先駆けがもたらす影響

モルガンスタンレーの動きは業界に新たな局面をもたらした。同社は「暗号資産へのアクセス」から「暗号資産の製造」へと戦略を転換し、業界初の銀行系ビットコインETFを実現した。モーニングスターのアナリスト、ブライアン・アーマー氏はロイターに対し、「銀行の参入は暗号資産ETF市場に正当性を与え、他行の追随を促す」と語った。

実際、モルガンスタンレーの上場からわずか6日後の4月14日にはゴールドマン・サックスが初のビットコインETF申請を発表。銀行ブランドの暗号資産商品に対するハードルが急速に低下していることがうかがえる。モルガンスタンレー自身も、MSBTを「カストディ、トレーディング、商品開発を含む社内デジタル資産戦略の一環」と位置づけており、同社にとっては商品戦略であると同時にポジショニング戦略でもあった。

手数料0.14%が示すコスト競争の本格化

MSBTの0.14%という手数料は、同社がコストと信頼性を武器に市場競争に参入する意図を示している。また、業界全体の手数料水準が今後どう変化するかを占う指標ともなっている。

さらに、ビットコイン市場への資金流入は、アドバイス、ブローカーアクセス、カストディ統合型の顧客体験といった分野で激化している。例えば、バンク・オブ・アメリカは2025年1月5日から、プライベートバンク、メリル、メリルエッジの顧客に対し、資産規模にかかわらず暗号資産への配分を推奨できるようになった。また、チャールズ・シュワブは4月16日、リテール顧客向けのビットコインとイーサリアムの直接取引を段階的に開始すると発表した。

銀行系ETF参入の波が加速

企業名動き影響
モルガンスタンレーMSBTを4月8日に上場銀行ブランドのETFが資金を集められることを実証
ゴールドマン・サックス4月14日に初のビットコインETFを申請同業他社の追随を示唆し、暗号資産へのスティグマ低下
バンク・オブ・アメリカ2025年1月5日からアドバイザーが暗号資産配分を推奨可能に富裕層向けチャネルへの暗号資産普及加速
チャールズ・シュワブリテール顧客向けビットコイン・イーサリアム取引を段階的に開始一般投資家の暗号資産アクセス拡大

これらの動きは、ビットコイン市場への資金流入が単なる商品競争にとどまらず、顧客体験やアドバイス体制の整備といった総合的なサービス競争へと移行しつつあることを示している。モルガンスタンレーのMSBTはその象徴的な存在と言えるだろう。