司法省、デンバーとコロラド州の銃規制を憲法違反で提訴
米司法省は11月12日、コロラド州デンバーの「アサルトウェポン」禁止条例と同州の大容量マガジン規制について、いずれも米国憲法修正第2条(武器所持権)に違反すると主張し、連邦地裁に提訴した。同日に行われた記者会見で、司法省のハーミット・ディロン次官補は、両規制が「合法的な目的で広く使用されている武器を禁止する」ものであり、最高裁の判例に反すると指摘した。
司法省は、最高裁が2022年に下した「ニューヨーク州ライフル・ピストル協会対ブルーン事件」の判断を引用し、規制を正当化する「歴史的伝統」が存在しないと主張。同判決では、憲法修正第2条で保障される権利を侵害する規制は違憲とされた。
「憲法は単なる提案書ではなく、修正第2条は二流の権利ではない。デンバーの半自動小銃禁止条例は、武器所持の権利を直接侵害している」
司法長官代行トッド・ブランシェ
デンバー条例の内容と対象銃器
デンバーの条例は1989年に制定された。同条例では、市内での「アサルトウェポン」の販売・譲渡・所持を禁止。具体的には、固定式または着脱式マガジンを備えた口径中心火器で、15発以上の装弾が可能な半自動式拳銃またはライフルを規制対象としている。これにより、米国で最も普及しているAR-15系ライフルなど、標準的なマガジンを装着した状態で規制対象となる銃器が多く含まれる。
司法省の訴状では、「アサルトウェポン」という用語が firearms industry(銃器業界)で技術的に定義されたものではなく、反銃規制団体が政治的な文脈で使用するレトリック用語に過ぎないと指摘。実際に規制対象となっている銃器は、「数百万人の合法的な市民が所持する一般的な半自動式ライフル」だと主張している。
同訴状によると、AR-15系ライフルは米国で最も普及しているライフルであり、全米ライフル協会(NSSF)の2024年1月時点の調査では、米国民が所有する「現代的スポーツライフル」(業界用語)は3200万丁以上に上る。このうち、AR-15系ライフルの所有者は1600万〜2500万人に及ぶと推定されている。これらの銃器は、自衛、狩猟、射撃練習など、合法的な目的に使用されることが多く、犯罪に使用されるケースは稀だとされる。
大容量マガジン規制の実態
デンバーの条例では、15発以上の装弾が可能なマガジンも規制対象。司法省は、こうしたマガジンも「合法的な用途で広く使用されている」と主張。同省によると、2019年のFBI犯罪統計では、ライフル(全種類)による殺人事件は364件に留まり、拳銃(6368件)、刃物(1476件)、素手(600件)、鈍器(397件)と比較しても圧倒的に少ない。
また、ディロン次官補は、大容量マガジンが犯罪に使用される頻度は低く、むしろ「合法的な射撃スポーツや自衛目的で広く利用されている」と強調した。同省は、規制が銃器の一般的な使用を制限するものであり、修正第2条の保障範囲を侵害すると主張している。
今後の展開と背景
今回の提訴は、司法省が全米で進める銃規制の憲法適合性を問う取り組みの一環。特に、民主党が多数を占める州や自治体による規制に対し、共和党政権下の司法省が憲法違反として争うケースが増加している。
デンバー市当局は現在のところ、司法省の提訴に対する公式なコメントを発表していない。一方、全米ライフル協会(NRA)などの銃権擁護団体は、今回の提訴を歓迎。NRAの広報担当者は、「修正第2条の権利を守るための重要な一歩」とコメントしている。
今後、連邦地裁での審理が進む見通しだが、最高裁の判例を踏まえた場合、規制の合憲性が厳しく問われる可能性が高い。デンバーとコロラド州の規制が維持されるか、それとも憲法違反と判断されるかに注目が集まる。