自動車の基本構造は、1886年にカール・ベンツが「パテント・モートルヴァーゲン」を発表して以来、大きな変化はない。エンジンが車輪を駆動し、ステアリングギアが操舵を担い、運転者が座るシートがある。変わったのは、主に「オプション」と呼ばれる付加機能だ。暖房シートや後部座席にレコードプレーヤーを搭載したデソートなど、時代ごとにユニークな装備が登場してきた。

フォードF-250用チェーンソー「フェリング・フレンド」

1970年代、フォードはF-250トラックの運転席内側フェンダーに取り付け可能なチェーンソー「フェリング・フレンド」を販売していた。チェーンソー自体はフォード製ではなく、オールソン・ライス(後にオーリンと改称)が製造し、フォードブランドとして販売された。F-250の内側フェンダーに取り付ける専用マウントも用意されていた。

オールソン・ライスの1971年のメモによると、フォードブランドとして販売されたチェーンソーは「イーグルI」「イーグルII」「ホーク」の3機種で、14インチと16インチのバーを選択できた。キャンパー仕様のF-250を所有するアウトドア愛好家は、薪の確保や道の障害物除去に困ることはなかっただろう。チェーンソー自体よりも、取り付けマウントの方が希少かもしれない。コレクターの間では、チェーンソーは奇妙なノベルティとして保存され、トラック愛好家の間で再評価されるようになった。

シボレーの狩猟用パッケージ:ウィンチェスターM94AE XTRライフル付き

フォードがアウトドア志向の顧客に木を伐採する道具を提供していたのに対し、シボレーは樹上の狩猟用に特化した装備を販売していた。1985年秋、地元のシボレーディーラーで新しいピックアップトラック(K10やブレイザー)を購入すると、狩猟シーズンに必要なほとんどの装備を手に入れることができた。その中には、ウィンチェスターM94AE XTR .30-30口径レバーアクションライフルが含まれていた。

シボレーの「アウトドアズマン・パッケージ」には、この他にも特殊な装備が含まれていた。例えば、荷台に取り付けることで荷物を固定しやすくする「デュアルアクションゲート」や、暗闇での作業をサポートする「ハロゲンヘッドライト」などがあった。これらの装備は、当時のシボレーがいかに狩猟やアウトドア活動に特化していたかを示すユニークな例だ。

デソートの後部座席レコードプレーヤー

1950年代から1960年代にかけて、自動車メーカーは運転の楽しみを高めるために様々なオプションを提供していた。その中でも特にユニークだったのが、デソートの後部座席に搭載されたレコードプレーヤーだ。当時の高級車には、後部座席の乗客が音楽を楽しめるように、車内にステレオシステムやレコードプレーヤーが搭載されることがあった。

デソートのレコードプレーヤーは、後部座席の中央に設置され、乗客が好きなレコードを再生できるようになっていた。このオプションは、長距離ドライブや家族でのドライブをより楽しいものにするためのものだった。当時の広告では、「ドライブ中も音楽を楽しめる」と謳われていた。現在では、このような装備は非常に希少であり、コレクターの間で高い価値を持っている。

時代と共に変わる「実用性」の定義

これらの奇妙なオプションは、当時の自動車メーカーが顧客のニーズをどのように捉えていたかを示す貴重な歴史の一端だ。時代が変わるにつれて、実用性の定義も変化してきた。かつては「木を伐採する」「狩猟に行く」といったニーズに応える装備が人気だったが、現代では安全性や快適性、環境への配慮が重視されるようになっている。

しかし、これらの奇妙なオプションは、自動車の歴史におけるユニークな一面を垣間見せてくれる。当時の技術や発想を知ることで、現代の自動車文化のルーツを理解する手がかりとなるだろう。

出典: Hagerty