米国最高裁判所は13日、トランプ前政権が廃止を決定したハイチとシリア難民の一時保護ステータス(TPS)に関する異議申し立ての審理を行った。この判断は、現在米国に在住する130万人を超えるTPS保持者全体に影響を及ぼす可能性がある。
今回の審理では、連邦法に違反してTPDが廃止されたと主張する2件の訴訟が統合された。SCOTUSblogによると、廃止決定の際に他の連邦機関との十分な協議が行われなかったとされている。また、ハイチ出身者側は、TPD廃止が憲法修正第14条の平等保護条項に違反し、非白人移民を差別するものだと主張している。
これに対し政府側は、国土安全保障省(DHS)のTPD廃止決定は司法審査の対象外であると主張。廃止決定は適切に行われたとしているが、異議申し立て側は、この立場が行政府の司法審査回避につながると反論している。
TPD制度の概要と廃止の経緯
TPD制度は1990年に創設され、大規模災害や武力紛争などにより帰国が困難な国の国民に対し、米国内滞在と就労を認める制度だ。ただし、永住権や市民権への直接的な道は提供されない。
2021年6月、当時の国土安全保障長官クリスティ・ノーム氏は、2010年の大地震以降も人道危機が続くハイチのTPD廃止を発表した。ノーム氏は、ハイチがTPDの条件を満たしておらず、廃止は米国の国益に反すると判断したが、ワシントンD.C.地区連邦地裁のアナ・レイエス判事は、ノーム氏が「非白人移民への敵意に基づいてTPD廃止を決定した可能性が高い」と指摘。他の連邦機関との協議を怠ったことも明らかにした。
同様に、シリアのTPD廃止も2021年9月に発表された。シリアは2012年からTPDが適用されていたが、アサド政権による内戦で多数の犀が死亡した後も状況は改善していない。ニューヨーク南地区連邦地裁のキャサリン・ポーク・ファイラ判事は、シリアTPD廃止も連邦法違反の可能性が高いとの判断を示した。
最高裁の審理と今後の行方
13日の審理では、TPD廃止の即時実施について、裁判官間で意見が分かれているとニューヨーク・タイムズが報じた。特にソトマイヨール判事とジャクソン判事は、ハイチTPD廃止に人種的動機があった可能性を指摘した。
TPD廃止の是非は、今後の最高裁判決に大きく左右される。判決が出れば、130万人を超えるTPS保持者の運命が決定づけられることになる。