米国最高裁判所の内部文書がニューヨーク・タイムズ紙にリークされた問題で、同記事の共著者である弁護士兼ジャーナリストのアダム・リプタク氏が、ニューヨーク州の弁護士倫理規則に違反した可能性が浮上している。

このリークは、裁判所の機密保持義務に対する重大な違反であることは明らかだが、リプタク氏がニューヨーク州の弁護士免許を保持しており、ニューヨーク州弁護士会の倫理規則(Rules of Professional Conduct)に拘束される立場にある点が注目される。

リプタク氏の倫理規則違反の可能性

専門家らは、リプタク氏が以下の2つの倫理規則に抵触する可能性を指摘している。

1. 司法官の違法行為への関与(Rule 8.4(f))

ニューヨーク州弁護士倫理規則のRule 8.4(f)は、弁護士が「裁判官や司法官の違法行為を故意に助長してはならない」と定めている。仮に最高裁職員が内部文書をニューヨーク・タイムズ紙にリークし、リプタク氏がそのリーク行為を助長した場合、同規則に違反する可能性がある。

最高裁職員のリーク行為は、司法会議の「司法職員倫理規程」(Code of Conduct for Judicial Employees)第320条、同D.3項に違反する疑いがある。同規程は、職務上知り得た機密情報を「職務遂行上必要な場合を除き、決して開示してはならない」と定めている。ただし、同規程は「合衆国最高裁職員」には適用されないため、最高裁独自の類似規則が存在するとみられている。

2. 最高裁判事の機密情報不正利用(Canon 2.A、4.D.4)

最高裁の判事倫理規程Canon 2.Aは、判事が「法を尊重し、司法の公正性と中立性に対する国民の信頼を高める行動をとるべき」と定めている。またCanon 4.D.4は、判事が職務上知り得た非公開情報を「公的職務とは無関係な目的で開示または利用してはならない」としている。内部文書をニューヨーク・タイムズ紙にリークする行為は、明らかにこの規定に抵触する可能性がある。

リーク行為への関与形態による違反の可能性

リプタク氏がリークそのものに関与した場合、Rule 8.4(a)の「他者の違法行為を助長する行為」に該当する可能性がある。例えば、リークされた文書の公表に協力したり、リーク行為を正当化する解説を行ったりすることで、間接的にリーク行為を助長したとみなされる可能性がある。

専門家らは、リークされた文書についてコメントすることと、リーク行為そのものに関与することの違いを強調している。元最高裁書記官のエドワード・ラザラス氏と共著した書籍『Closed Chambers』の経験を持つリプタク氏であれば、リーク行為の倫理的責任について熟知しているはずだが、今回のケースではその立場が問われることになる。

リークの背景と今後の展望

このリークは、最高裁の内部文書が外部に流出した初めてのケースではないが、ニューヨーク・タイムズ紙という大手メディアへのリークは、その影響力の大きさから大きな注目を集めている。リークの経緯やリプタク氏の関与の有無については、今後さらなる調査が必要とされている。

専門家らは、リーク行為そのものの是非とともに、ジャーナリストと弁護士の二重資格がもたらす倫理的ジレンマについても議論を深めている。今後、最高裁やニューヨーク州弁護士会がどのような対応を取るのか、注目される。

出典: Reason