米国下院選挙において、共和党は選挙区の再編(ゲリマンダー)、司法判断、選挙プロセスへの介入を組み合わせることで、大統領選挙における選挙人制度のような議席獲得構造を構築しつつある。この戦略はすでに効果を発揮し始めている。

選挙分析機関の最新推計によると、民主党が下院過半数を獲得するためには、全国的な得票率で約4ポイントのリードが必要とされる。これは、大統領選挙で共和党に有利に働く選挙人制度の効果に匹敵する数字だ。

共和党の「議席奪取」シナリオ

政策シンクタンク「UnPopulist」のアンディ・クレイグ氏は、民主党が全国的な得票でリードしても、共和党が下院の実質的な支配権を握る可能性を指摘している。具体的なシナリオは以下の通りだ。

  • 多数・少数民族選挙区の議席無効化:共和党は、憲法違反を理由に多数・少数民族選挙区の議席認定を拒否する。これにより、民主党議員の議席が一時的に空席となる。
  • 議長選出と議席凍結:共和党議員が議長に選出されれば、新たな民主党議員の議席認定を拒否することが可能となる。これは、2023年にマイク・ジョンソン下院議長がアリゾナ州の民主党議員アデリタ・グリハルバの議席認定を7週間にわたり拒否した手法を踏襲したものだ。

クレイグ氏は、この戦略を「2021年1月6日の選挙人票戦略の下院版」と表現している。法的根拠の有無はともかく、現行の選挙制度がもたらす可能性を示すものだ。

民主党へのメッセージ:パニックに陥る必要なし

このシナリオに対し、「パニックに陥る必要はない」と冷静に受け止める見方もある。しかし、2021年1月6日の出来事を踏まえれば、いかなる可能性も否定できない。筆者自身も民主党支持者の一人だが、現実を直視すべき時が来ている。

「共和党が何をしようとも、民主党は勝利する」

これは、民主党にとっての「希望の薬」ではない。現実の選挙制度がもたらす帰結であり、民主党はこの構造的なハンディキャップを克服する戦略を早急に練る必要がある。