米ニューヨーク州の第二巡回区控訴裁判所は10月14日、イェール大学の法学博士課程(J.S.D.)に在籍するジェーン・ドーさん(仮名)が同大学を相手取り障害差別を理由に提訴した件について、ドーさんの仮名使用申請を却下した判決を支持する決定を下した。
ドーさんは、精神疾患の診断歴や治療歴、学業への影響などが裁判で明らかになると、学術的・職業的機会が損なわれるだけでなく、精神的な悪化を招く恐れがあるとして、仮名での訴訟手続きを求めていた。しかし、第一審の地区裁判所は、医療情報の非公開措置が既に講じられていることなどを理由に、この申請を却下。その後の再考請求も、新たに提出された精神科医の診断書が「早期に提出可能だった」として却下された。
控訴審の判断基準
第二巡回区控訴裁判所は、地区裁判所の判断を支持し、仮名使用の申請を却下した。同裁判所は、仮名使用の可否について、地区裁判所の判断に「裁量権の乱用」があったかどうかを審査。具体的には、法律の誤った解釈や明らかな証拠の評価ミス、あるいは「許容される判断の範囲を逸脱した」場合にのみ、裁量権の乱用があったと認定されるとしている。
また、連邦民事訴訟規則第10条(a)では、訴状の当事者名を明記することが義務付けられており、これは「司法手続きの公衆監視を促進するために重要な目的」を果たすと説明。例外的に仮名使用が認められるケースは「極めて限定的」であり、その判断には慎重なバランスが求められるとしている。
プライバシー保護の措置
地区裁判所は、ドーさんの医療情報を非公開にするなど、プライバシー保護の措置を講じていた。控訴審もこれを踏まえ、仮名使用の必要性はないと結論付けた。ドーさんは、J.S.D.プログラムの延長を求めていたが、大学側はこれを拒否。ドーさんは、この処遇が障害に基づく差別であり、契約違反にも該当すると主張していた。
今回の判決は、精神疾患を抱える原告が仮名使用を求めた場合の基準を改めて示すものとなった。控訴裁判所は、プライバシー保護の措置が既に十分に講じられている場合、仮名使用の申請を認める必要はないとの立場を明確にした。