米国務省は5月2日、子育て費用の未払いが2,500ドル以上ある米国人に対し、パスポートを没収する新たな方針を発表した。同方針は5月8日から実施され、当初は10万ドル以上の滞納者を対象に始まるが、まもなく対象を2,500ドル以上に拡大する見通しだ。
同省は声明で「米国の家族を支援し、法令遵守を強化するため、トランプ政権下で合理的な手段を活用する」と表明。子育て費用の未払いが多額に及ぶ親が、法的・道義的責任を放棄することを防ぐ狙いとしている。
新方針の対象は当初、約2,700人に及ぶ見込みだが、その後の拡大でより多くのパスポート保持者に影響が及ぶ可能性がある。
1996年の法律を厳格化
今回の方針強化は、1996年に制定された「個人の責任と就労機会再確認法」に基づくものだ。同法では、子育て費用の滞納額が5,000ドル以上の場合、パスポートの取り消しや制限が可能と規定されていたが、後に対象額は2,500ドルに引き下げられた。これまでは主にパスポート更新時の審査で適用されていたが、今回からは米国務省が自ら違反を探し出し、積極的に没収を行う方針だ。
没収されたパスポートは、子育て費用の全額支払いと、保健社会福祉省(HHS)による記録のクリアランス後に再発行が可能となる。同省はウェブサイトで「パスポート没収を防ぐため、滞納者は早急に関係当局と協議し、債務を解消するよう」呼びかけているが、具体的な期限は設けていない。
移民取り締まり強化の一環か
トランプ政権は今回の方針強化について、明確な理由を示していない。しかし、移民取り締まり強化の一環として、より厳格な法令執行を進めているとの見方が強い。3月には、国土安全保障省がHHSの「連邦親子ロケーター・サービス」と呼ばれるデータベースへのアクセスを求めていたことが報じられている。同データベースには、米国の全児童とその家族に関する詳細な情報が記録されており、子育て費用の滞納者の特定に利用される可能性がある。
米国務省はファスト・カンパニーの取材に対し、詳細な説明を拒否したが、今後も同方針に関する情報提供は限定的になるとみられる。