アラバマ州シルバーヒル在住の建設作業員、レオ・ガルシア・ベネガスさん(32)が、米国市民であるにもかかわらず、移民・関税執行局(ICE)に3度目の逮捕をされたことが、連邦裁判所に提出された宣誓供述書で明らかになった。ベネガスさんは、移民政策を巡るDHS(国土安全保障省)の違法な執行をめぐる集団訴訟の原告団代表でもある。

「憲法違反の逮捕」を主張する訴訟の原告が再び拘束

ベネガスさんは5月2日朝、自宅前で車を止めていた際、無標識のSUVに進路を塞がれた。宣誓供述書によると、ICEの2人の職員が近づき、アラバマ州発行のREAL IDを提示する間もなく、ベネガスさんを車から引きずり出して手錠をかけたという。その後、15分間にわたり拘束されたが、その間、職員はベネガスさんの身分証を確認することなく、彼の主張を無視した。

「職員は私に身分や市民権について一切尋ねることなく、車から引きずり出し、地面に押さえつけて手足を拘束した。アラバマ州スターID(REAL ID)を提示しても、一切関心を示さなかった」
— レオ・ガルシア・ベネガスさんの宣誓供述書より

2025年に2度の逮捕を経験した原告

ベネガスさんは昨年、市民権を証明するREAL IDを所持していたにもかかわらず、2度にわたり建設現場でICEに逮捕された。今回の逮捕は、彼にとって3度目の経験となる。この事実は、移民当局が「合理的疑い」なしにラテン系住民を標的にした「網羅的な強制捜査」を実施しているとの主張を裏付けるものだ。

昨年10月、リバタリアン系の公益法律団体「Institute for Justice」は、ベネガスさんを含む建設作業員らを代表して集団訴訟を起こした。訴えによれば、DHSの政策により、ICE職員は「合理的な疑い」なしに民間の建設現場を襲撃し、労働者を拘束できるとしている。さらに、労働者が市民権や合法的滞在資格を証明しても、拘束が解かれないケースが多発しているという。

弁護士「逮捕ありき、質問なし」の違法な執行実態を指摘

Institute for Justiceの弁護士、ジャレッド・マクレーン氏は、「今回の逮捕は、我々が訴訟で主張している憲法違反の執行実態を如実に示している」と述べた。

「これは『逮捕ありき、質問なし』のやり方だ。最高裁が認めるような、個別の疑いに基づく短時間の捜査とは全く異なる」
— ジャレッド・マクレーン氏(Institute for Justice)

マクレーン氏はさらに、「ICE職員は、市民権を証明する書類を提示しても、それを無視して拘束を続けた。これは明らかな憲法違反だ」と強調した。

背景:ラテン系住民を標的にした強制捜査の実態

ベネガスさんのケースは、米国南部におけるICEの強制的な移民取り締まりの実態を浮き彫りにしている。特に、ラテン系住民が多く住む地域では、人種や民族を理由とした「プロファイリング」が横行しているとの指摘が後を絶たない。

集団訴訟では、ICEが「合理的な疑い」なしに建設現場を襲撃し、労働者を拘束している実態が明らかにされている。また、拘束された労働者の多くは、市民権や合法的滞在資格を証明する書類を所持していたにもかかわらず、職員からの信頼を得られなかったという。

今後の展開と法廷闘争の行方

ベネガスさんの弁護団は、今回の逮捕を受けて、DHSとICEの違法な執行をめぐる訴訟をさらに強化する方針だ。今後、裁判所はICEの強制捜査の合法性について厳しく審査する見通しだ。

また、この問題は米国全土で議論を呼んでおり、移民政策の見直しを求める声が高まっている。特に、ラテン系コミュニティでは、人種差別的な強制捜査に対する不安が広がっている。

  • ICEによる3度目の逮捕を経験したベネガスさんは、引き続きDHSを提訴し、違法な強制捜査の停止を求める。
  • Institute for Justiceは、集団訴訟を通じて、ICEの「網羅的な強制捜査」の違法性を立証する方針。
  • 米国市民であっても、人種や民族を理由に不当な扱いを受けるリスクが浮き彫りに。
出典: Reason