カリフォルニア州の森林でグリホサート大量散布が進行
米カリフォルニア州のローン峰近郊の自然林で、除草剤グリホサート(商品名:ラウンドアップ)が大量に散布されている実態が明らかになった。現地調査を行った調査報道番組『リビール』のレポーター、ネイト・ハルバーソン氏によると、散布地帯の林床は茶色の斑点模様で覆われ、シダや下草、花はおろか、野生動物の姿すら見られなかったという。
唯一残っていたのは、列状に植えられた苗木だけだった。ハルバーソン氏はこの光景を「木を植えるために森を殺す」と表現する。
森林再生の名目で行われる大規模散布
同州の森林では近年、大規模な山火事が頻発しており、伐採可能な樹木が激減している。米森林局と林業会社は、伐採跡地の再生を目的に、グリホサートを大量に散布している。同局の発表によると、散布面積は過去最高を記録し、年々増加傾向にあるという。
しかし、この取り組みは専門家から強い批判を浴びている。火災跡地の生態系回復を専門とするクレイグ・トーマス氏は、グリホサートの大量散布について「化学産業と森林局の癒着を深刻に見直す必要がある」と述べ、森林局が除草剤依存症に陥っていると指摘する。
専門家が警告する生態系への深刻な影響
グリホサートは非選択性除草剤であり、植物を問わず枯らす性質を持つ。このため、散布地帯では下草や低木が死滅し、土壌の保水力や栄養素が低下。その結果、植林された苗木の成長も阻害される可能性が指摘されている。
さらに、土壌微生物や昆虫、小動物などの生態系全体に与える影響も懸念される。トーマス氏は「グリホサートの散布は、一時的な木材生産のために長期的な森林の健全性を犠牲にしている」と批判する。
森林局の対応をめぐる議論
米森林局はグリホサートの散布について、「侵略的外来種の抑制と樹木の成長促進を目的としている」と主張している。しかし、環境団体からは「散布量の削減や代替手法の導入を求める声が上がっている。
カリフォルニア州では、2020年に州法によりグリホサートの公園内使用が制限されたが、森林局は「伐採跡地の再生が最優先」として、例外措置を適用している。環境保護団体「Earthjustice」の弁護士は「森林局は化学物質への依存から脱却し、自然の回復力を活かした手法に転換すべきだ」と訴える。
今後の展望と代替策の模索
グリホサートに代わる手法として、火災跡地の自然回復を促す「プローンバーニング(計画的焼却)」や、在来種の苗木を用いた植林などが検討されている。しかし、これらの手法はコストや労力の面で課題が多く、実施には時間を要する見込みだ。
ハルバーソン氏の調査報道を受け、カリフォルニア州議会ではグリホサートの森林内使用に関する公聴会が開催される予定。同州の環境政策の今後の動向が注目される。