米国では、母の日を前に、議員らが移民拘留施設における妊娠・授乳中の女性への「非人道的で恐ろしい扱い」に対し、強い懸念を表明している。

15日、民主党議員のリチャード・ブルーメンソール(コネチカット州)、マジー・ヒロノ(ハワイ州)、ジョン・オソフ(ジョージア州)の3議員は、国土安全保障省のマークウェイン・マリン長官宛てに書簡を送付。同施設に拘束された妊婦の実態調査と即時解放を求めた。

同書簡では「連邦当局の拘束下にある妊婦に対し、実質的に法的保護が存在しない」と指摘。さらに、拘留施設における妊婦の健康管理基準の確立を迫った。

新法案「Pregnant Women In Custody Act」が提出される

同日には、下院議員シドニー・カムラガー=ドーヴ(カリフォルニア州)が新法案「Pregnant Women In Custody Act」を提出。同法案は、連邦刑務所やICE(移民税関執行局)の拘留施設に拘束された妊婦に対し、適切な医療提供を義務付ける内容だ。具体的には、出産時の拘束具使用禁止や、医療データの収集強化などが盛り込まれている。

カムラガー=ドーヴ議員は声明で「連邦当局の拘束下にある妊婦に対し、実質的に法的保護が存在しないことは容認できない。この法案は、母子の健康と安全を確保するためのものだ」と述べた。

拘留施設における実態とは

2023年には、刑務所内で700人以上の母親が出産したとの報告がある。また、2025年1月から2026年2月16日までの間に、363人の妊娠・出産直後・授乳中の移民が強制送還され、このうち16件の流産が確認された。議員らの書簡によれば、3月現在で拘留中の妊婦は126人と推定されている。

しかし、その医療体制は州や施設によって大きく異なり、連邦レベルでの基準は極めて乏しい。例えば、妊婦への栄養基準はおろか、出産時の拘束具使用が依然として行われているとの報告もある。中には、出産直後に母子が引き離されるケースもあり、こうした状況が母子の命や心身の健康に深刻な影響を及ぼしている。

テキサス拘留施設の実態も明るみに

議員らは、国土安全保障省と契約する民間業者2社(Acquisition Logistics, LLCおよびAmentum Services, Inc.)にも書簡を送付。テキサス州エルパソにあるICE拘留施設「キャンプ・イースト・モンタナ」の運営実態についても調査を要請した。

同施設では医師が常駐していないにもかかわらず、妊婦が拘留されているという。議員らの書簡によれば、ある妊婦が性器出血を訴えた際、与えられた対応は「水、妊娠ビタミン、体温測定のみ」だったという。

議員らは「この政権が、極めて脆弱な立場にあるこの集団を、いかに無関心に扱っているか深く憂慮している」と述べ、マリン長官に対し即時の改善を求めた。