連邦控訴裁判所の注目判決を毎週紹介する「Short Circuit」の第100回が公開された。今週はミシガン大学法学部から生中継で行われた特別編「行政法アポカリプス」を中心に、注目すべき判決をピックアップした。

eminent domain(土地収用権)の失敗例:ボルチモア市の教訓

2006年、米国メリーランド州ボルチモア市は、大規模な土地収用を実施し、民間開発業者に土地を引き渡した。しかし、計画された開発は失敗に終わり、当該地域は空き地や廃墟が目立ち、ネズミがはびこる状態となった。周辺住民にとって迷惑な存在となったこの状況について、第4巡回区控訴裁判所は「残念な結果だが、憲法修正第5条の「収用条項」に基づく住民の請求権は認められない」と判断した

同裁判所は、隣人の土地収用に対する異議申し立てが認められない理由として、収用自体が憲法違反ではないとの立場を示した。

銃器規制と修正第2条の解釈:第4巡回区控訴裁判所の判断

2021年1月6日の米国議会議事堂襲撃事件に関与し、後に恩赦を受けた海軍予備役の男性が、4万ドル以上の銃器や装備品を購入した。その中には、消音器としても使用可能な銃器クリーニング用具も含まれていた。男は無登録の消音器所持で起訴された。

第4巡回区控訴裁判所は、消音器が修正第2条の「武器」に該当するか否かを判断する必要はないとした。なぜなら、たとえ該当すると仮定しても、当該規制は判例に基づき「合憲の推定」が働くためだ。同裁判所のウィルキンソン判事は「消音器は修正第2条の保護対象外」との意見を述べ、リチャードソン判事は「現行の判例は修正第2条の原則と整合しない」と指摘した。

不当な家宅捜索:テキサス州の悲劇的事例

テキサス州ハリス郡の女性が深夜にドアをノックされたと勘違いし、保安官を自宅に招いた。しかし、誰もおらず、保安官らは30分後に再び呼ばれ、女性の夫と息子(実際には不在)からの通報を受けて再び出動した。息子が間違った住所を伝えたため、保安官らは隣家に侵入したが、すぐに間違いに気づいて退去した。しかし、再び侵入し、就寝中の住民を銃を突きつけて起こした。

第5巡回区控訴裁判所は、第4修正違反の可能性があるとして、事件の一部を棄却しないとの判断を下した

オンライン利用規約と政府捜査:第7巡回区控訴裁判所が判断

Dropboxが児童ポルノ所持者の情報を準政府機関に共有した事例で、第7巡回区控訴裁判所は、オンライン利用規約の細則に同意した時点で、ユーザーは政府による電子ファイルの捜査に同意したとの見解を示した。同裁判所は、一般ユーザーが読まない利用規約の条項が、憲法上の保護を事実上無効化するとの立場を打ち出した。

同判決は、他の巡回区との判例の分裂をさらに深める結果となった。

DHSの政策をめぐる訴訟:第7巡回区控訴裁判所の判断

2018年、米国市民権・移民局(DHS)の令状なし逮捕政策に対し、非市民の集団が提訴した。2022年、地区裁判所は2025年5月12日までの同意判決を下した。しかし、2025年に原告団は「政府が同意判決を履行していない」と主張し、期間延長を求めた。

地区裁判所は118日間の短期延長を認めたが、政府側は「これ以上の延長は認められない」と反発した。第7巡回区控訴裁判所は、短期延長を支持する判断を下したが、一部の判事からは反対意見が出された。

出典: Reason