米国のカジュアルダイニングチェーン「チリーズ」は、この数年で大きな復活を遂げている。同社は昨年50周年を迎え、直近20四半期連続で売上成長を記録。その成功の裏には、CEOケビン・ホックマン氏が明かす「マーケティング」と「運営力」という2つの要素があった。

「マーケティングがお客様を呼び込み、運営力がリピーターを生む」

ホックマン氏は米経済誌「ビジネスインサイダー」の取材に対し、このように語った。同発言は昨年の投資家向け決算発表でも共有され、同社がこの戦略を一貫して推進していることがうかがえる。

「マーケティングは魅力的でなければならない。そして運営担当者がその体験を創り出す」とホックマン氏は強調する。

「トリプルディッパー」が売上の14%を占める

チリーズの成長を支える要因の一つが、人気メニュー「トリプルディッパー」だ。これは3種類のアペタイザーを組み合わせたセットで、昨年の総売上の14%を占めた。特に、フライドモッツァレラスティックがSNSで話題となり、2025会計年度には4100万個を販売した。

「その人気の100%はソーシャルメディアによるものです」と、チリーズの最高マーケティング責任者ジョージ・フェリックス氏はNPRの取材に答えた。同社はその後、新たなフレーバーを追加し、話題をさらに加熱させた。

「日常の積み重ね」が秘密のソース

ホックマン氏は、チリーズの成功要因として、食品の品質、清潔さ、迅速なサービスといった「誰も語らない日常の取り組み」を挙げる。

「これこそが私たちの秘密のソース。地道な努力が、より良いサービスを生み出し、結果につながっている」

今年初めには、既存メニューの改良も実施。例えば、ベーコンチーズバーガーのベーコン量を3倍に増量し、販売を押し上げた。また、異なるサイズ展開を導入するなど、顧客ニーズに合わせた戦略を展開している。

着実な成長と競合への挑戦

ホックマン氏がチリーズに加わった2022年以降、同社の店舗売上は2026年第2四半期に8.6%、第3四半期に4%の成長を記録。米国カジュアルダイニング市場で第2位の地位を維持し、テキサスロードハウスに次ぐ存在となっている。

「競合店で同じバーガーが1ドル安くても、広告写真と実物が違っていたら、その1ドルは無駄遣いだったとしか思えません」とホックマン氏は指摘する。

チリーズは過去にも競合に挑戦してきた。2024年には「ビッグスマッシャーバーガー」を発売し、「ビッグマックの2倍の肉」を売りにした。最近では、新発売のクリスピーチキンサンドイッチを他社商品と比較するキャンペーンも展開。ソーシャルメディアでの話題作りと競合へのアピールを通じ、同社の復活戦略は今後も加速しそうだ。