テネシー州で銃撃事件、ストリーマーが被疑者に
テネシー州ナッシュビル郊外のクラークスビルで、人種差別的発言で知られるライブストリーマー「チャド・ザ・ビルダー」(本名:Dalton Eatherly)が、5月21日に銃撃事件を起こした。警察によると、被害者の男性がEatherlyを殴った後、Eatherlyが相手を銃で撃ち、自身も負傷したという。モンゴメリー郡地方検事はEatherlyを「殺人未遂」で起訴した。
「チャド・ザ・ビルダー」の実像:人種差別と挑発の手法
Eatherlyは28歳の建設作業員で、口ひげとカウボーイハットがトレードマーク。ストリーミングでは黒人を侮辱する言葉を連発し、暴力を煽る行為で知られる。例えば、黒人を「チンパンジー」に例える差別用語を使い、相手が反応すると「自分を攻撃させて正当防衛を主張する」という挑発行為を繰り返していた。
ストリーミング中の映像は、ソーシャルメディアの「クリップ動画」アカウントによって拡散され、過激な発言が短時間で拡大。InfoWarsや右派活動家Gavin McInnesの番組に出演し、「白人のために差別用語を取り戻す」と主張していた。
ストリーミング経済が生んだ「悪意のスター」
専門家らは、Eatherlyのような過激派ストリーマーが台頭した背景に、「炎上経済」と右派の過激化があると指摘する。視聴者獲得のために挑発的な発言を繰り返す彼の手法は、ソーシャルメディアのアルゴリズムに最適化されており、多くのフォロワーを獲得。クラークスビルでは「有名人」扱いされ、クラウドファンディングで6万5千ドルを集め、独自の暗号資産「$CHUD」も発行していた。
「暴力の連鎖」:過激化が招く悲劇
Eatherlyの挑発行為は、反発を招き、さらなる暴力につながる「暴力の連鎖」を生んでいる。ヒップホップ系ポッドキャスターDJ Akademiksは最近、「誰かが彼を暗殺するかもしれない」と発言し、イラン最高指導者暗殺事件になぞらえた。ストリーミング業界の専門家Asmongoldも「これは巨大なイメージダウンだ」と批判した。
「ストリーミング経済は、過激な発言が報酬につながる構造を生み出している。その結果、Eatherlyのような悪意あるスターが生まれ、暴力にエスカレートするのだ」
— ストリーミング業界関係者
右派の「スター」化:問題の根深さ
Eatherlyは、右派の間で「言論の自由の象徴」として持ち上げられていた。しかし、その実態は人種差別と暴力の扇動であり、ソーシャルメディアの拡散によって「悪意のスター」としての地位を確立していた。専門家らは、こうした過激派の台頭を防ぐために、「責任あるコンテンツへの支援」が必要だと訴える。
事件を受け、ストリーミングプラットフォームやソーシャルメディア企業の規制強化が議論される可能性がある。しかし、過激派の拡散を止めるためには、ユーザーの意識改革と、アルゴリズムの見直しが不可欠だ。