米国防総省の1.5兆ドル予算、具体的な根拠なし

トランプ政権が議会に対して、前例のない1.5兆ドル規模の軍事予算を要求した。しかし、同予算の使途や必要性について、国防総省のピート・ヘグセス長官をはじめとする幹部らは具体的な説明を示せていない。

議員からの厳しい追及

今週行われた上下両院の歳出委員会審議では、ヘグセス長官らが「複雑な脅威環境に対応するため、世界最強の軍事力を維持する」といった抽象的な発言に終始した。例えば、同省のリリースには以下のような文言が並ぶ。

「この予算により、米国は世界で最も強力で能力の高い軍事力を維持し、複数の戦域における複雑な脅威に対応します。」

「米国の経済エンジンを加速させ、防衛産業基盤のあらゆるレベルで取り組みを強化します。我々の政策や予算要求は、前線から工場まで、部隊の殺傷力と生存性の向上に集中しています。」

こうした発言は、企業スローガンと選挙運動のスローガンを混ぜ合わせたようなもので、1.5兆ドルの使途を具体的に説明するものではない。議員らは「予算編成の基本である『解決すべき問題』『必要な能力』『購入すべきシステム』が示されていない」と指摘する。

「数字は空中から引き出された」

民主党のマーク・ケリー上院議員(元海軍戦闘機パイロット)は、水曜日の審議で次のように述べた。

「予算を編成するなら、『解決すべき問題』『必要な能力』『購入すべきシステム』を示すべきです。しかし、国防総省の計画にはそれがありません。例えば、『戦闘員に必要な重要な能力』に230億ドル、『主権的AIインフラ』に460億ドルを計上していますが、具体的にどの企業に、どのような能力に投資するのかは全く示されていません。まるで数字は空中から引き出されたかのようです。」

歴史的な規模の軍事予算

1.5兆ドルという規模は、インフレ調整後の米国の軍事予算として過去最大であり、第二次世界大戦や冷戦期を上回る。現行予算から45%増、2024年からは18%増となる見込みだ。さらに、イラン戦争の追加予算が加われば、2年間で軍事支出が倍増する可能性もある。

専門家らは、この予算が「戦略的な必要性よりも政治的な圧力や産業界の利益を優先している」との見方を示す。ヘグセス長官の発言からは、具体的な計画よりも「レーザーのように集中した」といったフレーズが目立つが、肝心の予算の根拠は依然として曖昧なままだ。

出典: Reason