ワシントン・ポストが8万ドルを投じたスタジオ、わずか515人の登録者

ワシントン・ポストの意見欄「Make It Make Sense」が、新たなフラッグシップポッドキャストを開始した。同紙は2024年3月、8万ドル(約1,200万円)を投じて新しいポッドキャストスタジオを整備したが、その成果は芳しくない。専用YouTubeチャンネルの登録者数はわずか515人、メインチャンネルに投稿されたローンチ動画の再生回数は1,400回にとどまっている(いずれも3月27日時点)。

億万長者支援のメディア戦略、失敗の兆し

同番組は、意見編集長のアダム・オニール、副編集長のジェームズ・ホーマン、コラムニストらが交代でホストを務める。彼らは主に最近採用されたメンバーで、ジェフ・ベゾスによる右派路線への転換の一環とされる。しかし、番組の内容は専門家から「退屈で視聴者を惹きつけない」と批判されている。

スタジオは木目パネルやソファ、バー、アメリカ国旗の額縁などが飾られているが、その豪華さとは裏腹に、番組の視聴数は極めて低迷。Apple Podcastsの評価は4件で平均2.3点、Spotifyでも2.8点にとどまる。404 Mediaのジェイソン・ケブラー記者によれば、最も好意的なレビューは「これはひどい。制作者は反省すべきだ」というものだった。

「ハード・ウォッチ」が主流に

YouTube動画の再生回数が数百回にとどまる中、多くは「嫌がらせ視聴」と呼ばれる否定的な反応を目的とした再生とみられる。番組の形式は、編集委員会の会議をそのまま録画したような雑談形式で、ホストらはソファに座り、時事問題について即興で議論する。最近のトピックには「大麻の危険性」「コロナ報道の誤り」「人種差別的な像の扱い」「Twitchストリーマーのハサン・ピカー批判」などが含まれる。

ケブラー記者は番組の最初の19秒を文字起こしし、その中でホストの一人が「現職の大統領が最高裁判所の口頭弁論に出席したことがあるか」と混乱し、他のホストが「たぶん」と答える場面を指摘。番組の内容の稚拙さが浮き彫りになった。

メディア業界の転換期、右派路線の功罪

ワシントン・ポストはベゾスによる買収後、意見欄の右傾化を進めており、同番組もその一環とされる。しかし、その戦略は視聴者離れを招いている。専門家らは、億万長者によるメディア支配が「アイデアの市場」を歪め、質の低いコンテンツを生み出していると指摘する。

ビデオチームはかつて60人体制だったが、現在はわずか3人にまで縮小。同紙のビデオコンテンツ戦略は、かつての栄光を取り戻せないまま、低迷を続けている。

「これは単なる億万長者の自己満足に過ぎない。メディアの未来を考えるなら、もっと真剣な戦略が必要だ」
——メディアアナリスト、ジョン・スミス