メディケアの新プログラムが医療アクセスを阻害
ワシントン州の病院からの報告によると、メディケア患者が受けるべき治療の事前承認プロセスが新たなメディケアモデルにより大幅に遅延していることが明らかになった。特に一部の手続きでは、従来必要なかった承認がAIによって判断されるようになり、待ち時間が2~4倍に延びているという。
議員報告書がAI承認プロセスの問題を指摘
米国上院議員マリア・キャントウェル(民主党・ワシントン州)が発表した報告書は、米国立医療保険・医療扶助サービスセンター(CMS)が導入した「WISeRモデル」によって、患者への悪影響が生じているとの調査結果をまとめた。同モデルは2024年1月1日に開始され、AIを活用して不必要な医療サービスを削減する目的で導入されたが、実際には医療アクセスの遅れにつながっていると指摘されている。
キャントウェル議員は10月23日に開催された上院財政委員会の公聴会で、CMSのロバート・F・ケネディ・ジュニア保健福祉長官に対し、WISeRモデルがAIを「却下装置」として活用し、従来は承認が不要だった医療サービスに対しても数週間の承認待ちを強いていると批判した。
AIによる承認プロセスの実態
報告書によると、WISeRモデルの導入により、以下のような問題が生じているという。
- 承認待ち時間の大幅な延長:ワシントン州の病院では、特定の手続きについて従来の2~4倍の時間を要している。
- 医療アクセスの悪化:特に高齢患者や慢性疾患患者において、必要な治療が遅れることで健康状態の悪化が懸念される。
- AIの判断基準の透明性不足:AIがどのような基準で承認・却下を判断しているのか、明確な説明がなされていない。
議員団がCMSにプログラム中止を要求
キャントウェル議員をはじめとする複数の民主党議員は、WISeRモデルの即時中止を求めている。彼らは、AIを活用した事前承認プロセスが医療の公平性を損ない、特に脆弱な立場にある高齢者や低所得者に不利益をもたらすと主張。CMSに対し、プログラムの見直しと透明性の向上を求めている。
「AIを医療の却下装置として使うことは、患者の命を脅かす行為だ。CMSは直ちにWISeRモデルを中止し、患者中心の医療システムに戻すべきだ」
— マリア・キャントウェル議員
今後の展開と課題
CMSはこれまで、WISeRモデルが医療費の無駄を削減し、医療の質を向上させるとしているが、議員や医療関係者からは反対の声が上がっている。今後、プログラムの見直しや廃止に向けた動きが加速する可能性がある。一方で、AIを活用した医療管理のあり方についても、倫理的・実務的な議論が求められている。