米国最大の電力市場を運営するPJMインターコネクションが、4年ぶりに新規電源接続の受付を再開した。同社は2022年から新規プロジェクトの審査を停止していたが、この間に2,664件(107GW)の接続保留案件を抱えていた。このうち1,972件(107GW)が再生可能エネルギーで、全体の約3分の2を占めていた。

ジョン・ゴードン(Advanced Energy United上級ディレクター)は「過去4年間、PJMは膨大な保留案件を精査し、新たな接続審査プロセスの構築に注力してきた」と語る。同社は昨年8月、改革後の新プロセス下で最初の審査サイクルへの申請受付を開始。今月13日までに220GWの容量を持つ811件のプロジェクトが申請された。

今回の審査対象となったプロジェクトは、件数ベースでは太陽光・蓄電池・太陽光・蓄電池の組み合わせが536件で過半数を占める。しかし、容量ベースでは自然ガスが48%の106GWを占め、再生可能エネルギーを上回った。

再生可能エネルギーの逆風と自然ガスの台頭

再生可能エネルギーの推進派は長年、PJMの接続審査プロセス改革を求めてきた。しかし、審査待ちが最大8年に及ぶ中で、太陽光や風力発電プロジェクトは厳しい状況に追い込まれていた。特に、COVID-19パンデミックやウクライナ侵攻をきっかけとしたインフレと金利上昇により、再生可能エネルギーのコストが高騰。さらに、トランプ前大統領の再選と「クリーンエネルギーへの攻撃」宣言により、状況は一層悪化した。

PJMによると、2020年以降に接続契約を締結した103GWのうち、実際に送電網に接続されたのはわずか23GW。審査プロセスを経たプロジェクトの4分の3が、最終的に撤退していた。

新たな審査プロセスと電力不足の懸念

PJMは過去4年間をかけて、古いプロジェクトの見直しと新たな審査プロセスの構築に注力してきた。今回の審査では、従来の「先着順」方式から「準備万端のプロジェクト優先」方式に移行。これにより、より迅速な接続が可能になると期待されている。

同社の緊急性の背景には、データセンター需要の急増と電力価格の高騰がある。2020年から2024年にかけて、PJMの電力価格は12.6セント/kWhから18.7セント/kWhへと約50%上昇。一般家庭の平均電気料金も月額128ドルから161ドルに増加した。

PJMは先月、「今後10年間で50~60GWの供給不足が見込まれる」と発表。これは、80万世帯を賄う規模に相当する。同社の現在の総設備容量は約180GWだが、データセンターや産業需要の拡大により、電力不足が深刻化している。

「再生可能エネルギーのコスト削減が進む一方で、接続プロセスの遅れが開発を阻害していた。新たなプロセスにより、より多くのプロジェクトが迅速に実現することを期待する」
— PJM広報担当者