労働組合がもたらす「確実性」
米国の労働組合に対する支持率は、過去10年で58%から68%に上昇。その一方で、アマゾンやスターバックス、アップルなどの大企業は従業員の組合結成を阻止する動きを続けている。そんな中、エレベーター・エスカレーター大手オーティスのジュディ・マークスCEOは、組合員の労働者がビジネスの安定と安全性に寄与すると主張する。
オーティスは米国で64%の従業員が労働組合との団体交渉協定の下で働いており、国際的にも多くの従業員が組合契約を結んでいる。マークスCEOは「CEOとして、あらゆる面で予測可能性を求めるが、労働は特に重要な分野だ」と語る。不確実性が高まる経営環境下で、組合は労働力のコストと安定供給を保証する存在となっている。
安全文化の向上と一貫したルール
オーティスは米国・カナダのエレベーター建設労働者を対象とする国際エレベーター建設労働者組合との契約で、現場の安全基準を強化。機器の取り扱いルールや追加の安全対策を定め、従業員と乗客の安全を確保している。
マークスCEOは「米国とカナダ全域で一貫した安全ルールを適用できることが、同僚や技術者、そして乗客の安全を守る上で非常に重要だ」と説明する。
AI時代における「人間中心」の労働観
AI導入が進む中、オーティスはすでに予測ソフトウェアを活用し、現場チームを支援。マークスCEOはAIが現場労働者の仕事を奪うのではなく、むしろ「人間主導・AI活用」の未来を描く。
例えば、オーティスのツールは技術者に対し、優先すべきサービス依頼を示す情報を提供。マークスCEOは「彼らは確実に仕事を持ち続け、意義ある機会を得る」と述べ、AIが労働の質を向上させる可能性を強調する。
オーティスの取り組み
- 従業員の72%が組合員:米国で64%、国際的にはさらに高い割合で組合契約を締結
- 安全基準の強化:組合との契約により、現場の安全ルールを一貫して適用
- AI活用の方針:「人間主導・AI活用」を掲げ、現場労働者の支援に注力
労働組合とテクノロジーの共存
マークスCEOは、AIが労働現場に与える影響について「技術は労働者を置き換えるのではなく、支援するもの」との見解を示す。オーティスでは、AIツールが現場の意思決定をサポートし、労働者のスキル向上につながる仕組みを構築中だ。
「技術は労働の質を高め、人間の可能性を広げる。私たちの目標は、AIを活用しながらも、人間の尊厳と安全を守ることだ」
— ジュディ・マークスCEO
労働組合の未来と企業の責任
米国で労働組合への支持が高まる一方で、企業と労働者の関係は依然として複雑だ。マークスCEOは、労働組合との協力が企業の安定性と社会的責任を両立させる鍵だと強調する。特に、現場労働者の安全とキャリア形成を支援する取り組みは、今後ますます重要になるだろう。