カリフォルニア州の下院選挙に立候補したリチャード・パンは、小児科医であり、かつて州議会議員として米国でも有数の強力なワクチン法を成立させた政治家だ。しかし、その政策は反ワクチン運動の激しい反発を招いた。
パンはこれまで、生理用品の血液を投げつけられる、路上で襲撃される、アジアの独裁者に例える差別的なミームに晒されるなどの攻撃を受けてきた。さらには、死の脅迫まで受けている。その背景には、2015年に「個人的信条」に基づくワクチン接種拒否を禁止する法案を提出し、2019年には偽の医療免除を規制する法案を成立させたことがある。
特に2019年の法案審議では、反ワクチン活動家が議会に押し寄せ、議員に向かって怒号を浴びせる、宗教指導者が呪いの祈りを捧げるなどの騒動が起きた。そんな中、パンは冷静に対応し、議論を重ねた。当時を振り返り、パンは「暴力に訴えるということは、既に議論に負けたことを認めるようなものだ」と語った。
反ワクチン運動の「試練」を乗り越えて
当時を支援していた母親のリー・ラッシンは、パンの姿勢について「まるで海が壁に打ち寄せても侵食されないような強さだった」と証言している。この経験は、後に「Make America Healthy(MAHA)」運動の原点となった。
カリフォルニア州議会議員を計16年務めたパンは、2022年に一旦政界を離れたが、反ワクチン運動の過激化とその象徴であるロバート・F・ケネディ・ジュニアの台頭を受け、再び政治の舞台に戻る決意を固めた。UCデービス医学部で教鞭を執っていたパンは、今年、連邦議会選挙への立候補を発表した。
科学的根拠に基づく政策を貫く
パンの政策は、科学的根拠に基づくワクチン推進にある。彼は、ワクチン接種が公衆衛生に与える影響を熟知しており、反ワクチン運動の主張に対してもデータと事実に基づいて反論してきた。その経験と知識は、今後の連邦議会でも貴重な武器となるだろう。
パンは「暴力や脅迫ではなく、議論で勝負すべきだ。私はこれまでも、そしてこれからも、科学的根拠に基づく政策を貫く」と語った。
「暴力に訴えるということは、既に議論に負けたことを認めるようなものだ」
— リチャード・パン
反ワクチン運動の象徴RFK Jr.との対決
パンはこれまで、反ワクチン運動の象徴的存在であるロバート・F・ケネディ・ジュニアと二度にわたり議論で勝利を収めている。2015年と2019年の法案審議では、ケネディ・ジュニアを含む反ワクチン活動家と直接対峙し、科学的根拠をもって政策を擁護した。
パンは「私はRFK Jr.と二度対決したが、二度とも勝利した」と語った。その冷静な対応と専門知識は、反ワクチン運動に対する強力な反論となっている。