ニューヨーク発 — 米大手高頻度取引(HFT)企業のジェーン・ストリート(時価総額450億ドル)は、暗号資産テラ(UST)の暴落に関連するインサイダー取引疑惑を巡る訴訟の却下を求める申立書を提出した。

テラフォーム・ラボの清算管理者であるトッド・スナイダー氏は2月に同社と共同創業者のロバート・グラニエリ氏、従業員のマイケル・ホアン氏、ブライス・プラット氏を提訴。ジェーン・ストリートが「非公開情報への独占的アクセスを通じて不可能だった取引で利益を得た」と主張した。

ジェーン・ストリートの反論:取引は公開情報に基づく

ジェーン・ストリートは18日(現地時間)、ニューヨーク南部地区連邦裁判所に提出した申立書で、以下のように反論した。

「原告の主張は自己矛盾している。ジェーン・ストリートが最大のUST売却(8500万UST)を行ったのは、非公開情報が市場に公開されたわずか10分後だった」

同社は、非公開情報に基づく取引は不可能だったと主張。USTが米ドル連動を失い暴落した2022年5月7日の取引は、安定通貨のペッグ崩壊に対応したものであり、内部情報に影響されたものではないとしている。

疑惑の背景:元テラフォーム社員の関与

スナイダー氏の訴状によると、ジェーン・ストリートの従業員で元テラフォーム社員のブライス・プラット氏(2021年9月まで在籍)が、退職後に非公開情報を入手。同氏が提供した情報を基に、ジェーン・ストリートは2022年5月7日に大規模なUST売却を行い、損失を回避したとされる。

しかしジェーン・ストリートは、同日の8500万UST売却はUSTのペッグ崩壊に対応したものであり、内部情報とは無関係だと主張。さらに5月8日から13日にかけてUSTとルナ(LUNA)の売りポジションを構築したが、これも「救済パッケージ」に関する非公開情報に基づくものではないとしている。

「救済パッケージ」とは、暴落するUSTを支援するための緊急資金調達計画を指す。

他の取引業者も提訴の対象に

ジェーン・ストリートは、スナイダー氏が提起した訴訟の唯一の被告ではない。同氏は昨年12月、シカゴ拠点の取引業者ジャンプ・トレーディングも提訴。同社とその子会社、幹部2名に対し、市場操作や投資家詐欺、利益相反行為などの疑惑を申し立てた。

ジャンプ・トレーディングは3月、同訴訟について「2024年に米証券取引委員会(SEC)から科された44億ドルの制裁金を回避するための透明性のない試み」と反論している。

ジェーン・ストリートの申立書は現在、ニューヨーク南部地区連邦裁判所で審理中。裁判所は通常、申立てから60日以内に判断を下す。

出典: DL News