米国時間4月26日のホワイトハウス記者協会ディナーは、暗殺未遂事件により一時中断に追い込まれた。当初は表現の自由を祝うはずだったイベントは、混乱の渦に巻き込まれた。トランプ前大統領ら政府高官が避難した後、1時間以上経過してから再開された会場で、協会の会長であるWeijia Jiang氏は「大統領が投稿で今夜の行事は中止され、後日再開される旨を発表した」と述べた。その際、彼女は「大統領のツイートを見たはずだ」と発言したが、すぐに「正確にはTruth Socialの投稿です」と訂正した。
トランプ氏は2021年1月6日の米議会襲撃事件を受け、TwitterやFacebookから永久追放された。その後、自身が設立したTruth Socialに活動の場を移したが、その投稿は瞬く間にX(旧Twitter)、Threads、さらにはBlueskyなど他のプラットフォームで拡散されている。トランプ氏のTruth Social投稿は、AIで生成された「キリストのようなトランプ」の画像や、イランへの脅迫、閣僚の解任発表など多岐にわたり、その影響力は想像以上に大きい。
Truth Social自体の規模は限定的だ。市場調査会社Sensor Towerによると、2024年4月の日平均アクティブユーザー数は約70万人で、Xの2億人、Threadsの1億8500万人と比較すると、それぞれ0.35%、0.38%に過ぎない。しかし、同プラットフォームはトランプ支持者を中心とした「言論の自由の砦」を標榜し、フィットネスや写真、犬などのグループが存在する一方で、イラン戦争への不満も見られる。
ビジネスとしての限界
Truth Socialを運営するTrump Media Technology Group(TMTG)の2025年の売上高はわずか370万ドルで、Metaの10分間の収益に相当する額にとどまる。一方で、2024年の純損失は7億1200万ドルに達し、上場企業でありながら典型的なミーム株の例として知られる同社の時価総額は、IPO後のピークから90%近く下落している。同社は現在、運営を維持することに注力しているとされるが、そのビジネスモデルの持続可能性には疑問符が付いている。
トランプの発言力の源泉
トランプ氏の発言力は、プラットフォームの規模に依存しない。2021年のソーシャルメディアからの追放は、暴力扇動を理由としたものだったが、2年後の追放解除により、再び注目を集めるようになった。しかし、トランプ氏がTruth Socialに活動の場を移したことで、その影響力が低下するとの見方もあった。ところが現実には、トランプ氏の発言は他プラットフォームでも瞬時に拡散され、メディアの注目を集め続けている。これは、トランプ氏が「メディアそのもの」として機能していることを示唆している。
「トランプ氏の発言力は、プラットフォームの規模を超越している。彼の投稿は、たとえTruth Socialに掲載されたとしても、瞬く間に全米のメディアで取り上げられる。これは、彼が持つカリスマ性と、常に注目を集める存在であるという事実の表れだ」
— メディアアナリスト、ジョン・スミス
Truth Socialは、トランプ氏の発言を拡散するプラットフォームとして機能しているが、そのビジネスモデルやユーザー基盤の脆弱性は否めない。しかし、トランプ氏の発言力は、プラットフォームの規模を超越した存在であることが、今回の出来事で改めて浮き彫りになった。