米国の共和党内で、ドナルド・トランプ前大統領のイラン政策に対する不満が強まっている。5月14日放送の「ザ・デイリー・ブラスト」ポッドキャストのトランスクリプトによると、共和党議員3人が民主党と共に戦争終結を求める決議案に賛成し、党内の分裂が深刻化していることが明らかになった。

さらに、ニューヨーク・タイムズ紙の調査報道により、トランプ政権によるイラン政策の実態が、これまで主張されてきた成功とは程遠いことが判明。加えて、トランプ氏が戦争によるインフレが一般市民に与える影響を「気にしない」と発言したことで、共和党は同氏の発言から距離を置き始めた。

共和党議員3人が戦争終結決議に賛成

米上院では、戦争権限法に基づき、60日を経過した戦争について議会の承認を求める決議案が可決寸前となった。共和党議員のスーザン・コリンズ、リサ・ムルコウスキー、ランド・ポールの3人が民主党に加わって賛成に回ったが、民主党議員ジョン・フェッターマンの反対により否決された。 Politicoによると、共和党内の反戦派議員の動きは今後さらに拡大する可能性があるという。

戦争権限法の形骸化と権力の集中

国際関係学の専門家、ニコラス・グロスマン氏は、戦争権限法の運用が形骸化していると指摘する。同法は本来、大統領が緊急事態や自衛のために武力行使を行った場合、60日以内に議会の承認を得られなければ自動的に終了する仕組みだが、トランプ前政権下では機能しなかった。

グロスマン氏は「トランプ前政権下で、米国がサウジアラビアのイエメン攻撃を支援した際、議会は戦争終結を求める決議を可決したが、トランプ氏は拒否権を発動。さらに、議会は拒否権の覆しに必要な票を集められなかった」と説明。同氏は「議会が権力を取り戻そうとしている今、この動きは肯定的に捉えられるべきだ」と述べた。

経済的影響が今後さらに悪化する可能性

グロスマン氏は、イランとの戦争による経済的影響はまだ始まったばかりであり、今後さらに悪化する可能性が高いと警鐘を鳴らす。同氏の新たな論考「MS Now」では、戦争が米国経済に与える長期的な負担について分析されている。

「経済的負担と政治的負担は今後さらに増大する。特に、戦争が長引けば長引くほど、その影響は深刻化するだろう」
(ニコラス・グロスマン氏)

共和党内の分裂が深まる中、トランプ氏の発言がさらに党内の反発を招く可能性も懸念される。今後の動向が注目される。