倫理団体が提訴、記録保存義務を回避するメモの是非を問う
米国の倫理監視団体「CREW(市民の責任と倫理のためのワシントン)」と「報道の自由財団」は、トランプ前大統領がホワイトハウス時代に発行した内部メモを巡り、同氏を提訴した。メモは、公式記録の保存を義務付ける法律に反し、公務員間のテキストメッセージや個人メールの削除を事実上容認する内容となっている。
「アメリカの歴史から記録を消す」という主張
報道の自由財団のローレン・ハーパー氏はニューヨーク・タイムズ紙に対し、「最も権力のあるオフィスの日常業務を記録したテキストメッセージは、アメリカの歴史の一部となるべきだ」と述べた。その上で、メモが「トランプ氏と閣僚に、どの記録がアメリカの歴史に残るかを決める権限を与える」と批判した。
司法省の憲法違反主張と連動したメモ発行
この問題は、司法省が先月「ウォーターゲート事件後に制定された大統領記録法は憲法違反」と主張したことに端を発する。その翌日にはホワイトハウスがメモを発行し、公務員間のテキストメッセージは「唯一の公式決定記録」でない限り保存不要との見解を示した。このメモは、今回の提訴でも根拠として引用されている。
記録管理の緩和、過去の不適切事例も浮上
メモはテキストメッセージだけでなく、個人アカウントのメールや一般的な記録管理の規制緩和も含んでいる。こうした記録管理の甘さはトランプ政権時代から指摘されており、同氏は重要書類を破り捨てたり、2020年選挙敗北後に機密文書を自宅に持ち帰ったとして起訴された経緯もある。
大統領記録法の歴史的経緯と今回の論点
大統領記録法は1978年に制定され、ウォーターゲート事件を受けて公務記録の透明性確保を目的とした。しかし、トランプ前政権は同法の合憲性を巡り司法省と対立。メモ発行は、記録の恣意的な削除や隠蔽を助長する可能性があると専門家は警鐘を鳴らす。
「このメモは、権力者が歴史を書き換えるための道具になりかねない」
— ローレン・ハーパー氏(報道の自由財団)
今後の展開と影響
提訴されたトランプ氏側は、メモの法的根拠について説明を求められる見通し。一方で、記録管理の透明性を求める市民団体は、同法の厳格な運用を求める声が強まると予想される。今後、裁判を通じて記録法の解釈が争点となる可能性が高い。