ニューヨーク州南部地区連邦地裁(S.D.N.Y.)のマゼストレイト判事、ガブリエル・W・ゴレンスタインは12月11日、元ニューヨーク州上院議員選挙候補者の弁護士が提出した訴状に、実在しない判例を引用していたとして、制裁金2500ドルを科す判断を下した。
原告側弁護士のトリシア・S・リンゼイは、2024年の州上院議員選挙に立候補したサイ・マレナ・ジメネス=フォガティの代理人として、被告側の2件の却下申立てに対し、2通の法律文書を提出。しかし、これらの文書には、実在しない判例が複数引用されていたことが判明した。
裁判所が指摘した「完全にでっち上げられた」引用
裁判所は、リンゼイの弁護士資格を停止する理由を示すよう命じたが、リンゼイは十分な説明を提供できなかった。判決文では、引用された判例が以下のいずれかに該当する場合を「完全にでっち上げられた」ものと定義している。
- 名前で検索しても存在しない判例
- 指定された巻やページ、データベースに存在しない引用
- 提示された主張と全く関連性のない判例
具体的には、7件の虚偽引用が確認されており、そのうちの1つは「架空の判例名」が使用されていた。また、実在する判例であっても、主張とは全く関係のない内容が引用されていたという。
弁護士の説明は「空虚な一般論」に終始
リンゼイは、裁判所からの命令に対し、「正確性と倫理基準を確保するための構造化された厳格なプロセスを実施している」と回答したが、具体的な説明はなかった。裁判所は、以下の点でリンゼイの対応が不十分であったと指摘している。
- 虚偽引用の発生源についての説明がない
- AIツールの使用に関する具体的な言及がない
- 「典型的な」プロセスと主張したが、実際に使用したプロセスかどうかは不明
リンゼイは、判例名や記録番号、引用元を手動で照合していると主張したが、「典型的なプロセス」という言葉を用いたことで、実際にはこのプロセスが適用されていなかった可能性が示唆された。
AIツールの使用に関する言及なし
多くの弁護士が、虚偽引用の原因としてAIツールの使用を認める一方で、リンゼイはその点について一切触れなかった。裁判所は、「最も基本的な疑問に対する回答がない」と厳しく指摘。リンゼイの説明は、「空虚な一般論と断定的な主張に終始し、具体性に欠ける」と結論付けた。
これにより、裁判所はリンゼイに対し、2500ドルの制裁金を科すとともに、今後の法廷手続きにおける注意義務を強化するよう命じた。