ネブラスカ州ヘイスプリングス発 — 牧場主のマーク・ピーパー氏は、2月のある早朝、牛の世話よりも優先すべき用事があった。過去3年半にわたり、週3回、早朝にピックアップトラックを走らせ、最寄りの病院で透析治療を受けてきた。しかし、2024年3月末でその治療が受けられなくなった。

「このままでは1か月で体がむくんで死んでしまう」とピーパー氏は振り返る。がん治療の影響で腎臓が機能しなくなり、透析が欠かせない。ヘイスプリングスの住民17人が、唯一の地元透析センターだったチャドロン病院に命を預けていた。透析は血液中の老廃物を除去する4時間の治療だ。

同センターの閉鎖は、慢性疾患の発症率が高い一方で医療アクセスが限られる米国農村部の医療崩壊の象徴だ。トランプ前政権は2023年9月に500億ドル規模の「農村医療変革プログラム」を発表したが、その効果は限定的とみられる。

「トランプ大統領は農村医療を支援すると言っていますが、透析はまさに必要な医療です」とピーパー氏は訴える。一部の患者は治療のために引っ越し、家族との距離が離れてしまった。ピーパー氏は最終的に、ネブラスカ州西部最大の都市スコッツブラフの透析センターに通うことにした。片道90分の移動は、週に9時間以上の負担となる。

ジム・ライト氏と妻は、サウスダコタ州ラピッドシティ近郊に週末用の小さな家を借り、 dialysis治療を受けている。ライト氏は「農村の病院は経済的な課題を抱えているのは理解している。だが、これは命に関わる問題だ。治療を受けなければ死ぬ」と語った。

閉鎖を決断したチャドロン病院のCEO、ジョン・ライナーズ氏は、州が発表した2億1900万ドルの農村医療支援金を受けてもなお、透析サービスの維持が困難だったと説明する。同センターは独立系の非営利病院で、財政難に直面していた。