ピニンファリーナとJASモータースポーツによるNSX「テンセイ」のプロジェクトが、ミラノデザイン週間でさらに詳細を明らかにした。2025年の注目作として紹介されたこのレストモッドは、オリジナルのNSXから大幅な進化を遂げている。
圧倒的なプロポーションの変化
テンセイの最大の特徴は、そのプロポーションにある。デザイナーのディミトリ・ヴィチェドミニ氏は、「設計方針が固まった段階で、車両はほぼ自動的にデザインされた」と語る。オリジナルNSXと比較して、ホイールベースの延長、リアオーバーハングの短縮、トレッドの拡大、車高の低下、そして大径ホイールの採用により、より力強く、安定感のあるフォルムを実現した。
リアの張り出したフェンダーと広がった肩部は、ピニンファリーナの「三角形のシグネチャー」として知られるデザイン要素で、フェラーリ288 GTOなどの傑作からインスパイアされたものだ。1989年のモータートレンド誌表紙で見せたスリムなボディにショックを受けたNSXが、その後の Jahrzehntenをジムで過ごしたかのような筋骨隆々の姿に生まれ変わったと言えるだろう。その一方で、ポップアップヘッドライトやインテグラルスポイラーなど、オリジナルの象徴的なデザイン要素は、現代的な解釈で受け継がれている。
純粋なV6エンジンと6速MT
テンセイの心臓部には、オリジナルNSXのエンジンアーキテクチャを基に開発された自然吸気V6が搭載される。最大出力、トルク、レスポンスを追求したこのエンジンは、6速マニュアルトランスミッションと組み合わせられる。ターボや電動化、パドルシフトといった現代的な要素は一切排除され、純粋なドライブ体験を追求した。現代のスーパーカー購入者にとっては「時代遅れ」と映るかもしれないが、テンセイが提供するのは、まさにその「時代遅れ」だからこそ得られる、生のエンジンフィールとドライブの楽しさだ。
インテリアにもこだわった「知覚品質」
インテリアについては、残念ながら現段階では画像は公開されていないが、ピニンファリーナはドライバー中心のエルゴノミクスと視界をオリジナルから受け継ぎつつ、「知覚される品質」の向上を図っているという。カスタムスイッチ類や高級素材の採用が予想され、アナログメーターの採用にも期待が高まる。
ピニンファリーナとホンダの歴史的な関係
このプロジェクトの背景には、ピニンファリーナとホンダの長い歴史がある。1984年に両社が共同で発表したコンセプトカー「HP-X」は、その後のNSXの原点となったミッドシップスポーツカーであり、テンセイはそのDNAを受け継ぐ存在と言える。
テンセイの生産は、ミラノ近郊アルルーノにあるJASモータースポーツのアトリエで行われ、カスタマイズオプションはピニンファリーナの本拠地であるトリノ近郊カンビアーノにある施設で対応される。フルデビューは2026年後半に予定されており、価格や生産台数などの詳細が明らかになる見込みだ。
関連記事: ホンダが米国に「ヘリテージパーツ」を供給開始も、NSXの特権は海外に残留