フォックス・コーポレーションのCEO、ラックラン・マードック氏は2024年8月12日、決算発表の場で、2026年シーズンにNFLの全国放映権を2試合追加する計画を発表した。しかし、この発表の裏では、NFLと放送網との間で深刻な利害対立が生じている。
ラックラン氏は同日、NFLとの「緊張関係は本当にない」と発言したが、その発言は現実とかけ離れたものとなっている。同氏の父であり、フォックスの筆頭株主でもあるルパート・マードック氏は、NFLが放送網からストリーミングへの移行を進めることで「放送網を破壊する可能性がある」と、トランプ前大統領に伝えていたと報じられている。
さらに、ルパート氏が発行するウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、NFLが放送網の反トラスト法上の免除を維持する正当性を示すよう求める社説を発表。リーグが有料プラットフォームへの放映権販売を拡大する中、連邦政府が反トラスト法違反の可能性を調査しているとの報道も浮上した。
政治的圧力と経済的利害の衝突
トランプ前大統領は8月11日、NFLのストリーミング移行が消費者に与える負担について言及し、ファンが1試合につき1,000ドルを支払っていると主張したが、これは事実誤認であった。しかし、問題の本質は、米国のリーダーがこの動きに注目し、反発を示している点にある。
同日、WSJのジョー・フリント記者はツイッターで、米司法省(DOJ)によるスポーツ放送法の調査と、ストリーミングへの放映権移行に対する不満と、フォックスやNBCの放映権拡大が同時に報じられたことについて「相関関係はない」と投稿したが、その発言自体が、両者の関連性を示唆するものとなっている。
放映権再交渉の行方
フォックス、CBS、NBCは2026年に向けて放映権を拡大したが、これはリーグが求める大幅な放送料金の引き上げに対する布石に過ぎない。現在の放送契約は、CBS、フォックス、NBC、Amazon、YouTubeが2029年まで、ESPN/ABCが2030年まで有効だが、リーグはさらなる収入増を目指している。
この動きは、NBAの最新放映権契約の規模を受けて加速したとみられ、NFLコミッショナーのロジャー・グッデル氏に関するバニティ・フェアの記事でもその点が指摘されている。リーグが求める「さもなければ」の条件とは、現在の放送パッケージをストリーミング企業に移行させる可能性を示唆するものだ。
「フォックスとNFLの関係に緊張がないというのは、現実を無視した発言だ。メディア王による政治的圧力がリーグを追い込み、放送網との利害対立が表面化している。」
フォックスの放映権拡大は一時的な解決策に過ぎず、放送網とNFLの本格的な交渉が2026年以降に控える中、両者の対立は今後さらに激化する可能性が高い。