カナダの独立系ゲームスタジオ「レッドバレルズ」は設立から15年を迎え、代表作「アウトラスト」シリーズでホラーゲーム業界にその名を刻んできた。2013年のデビュー作発売以降、シリーズはDLC、続編、そして10年後の共同プレイスピンオフ作品「アウトラスト・トライアルス」と、着実に進化を遂げてきた。この15年間の軌跡と、今後の展望について、同社共同創設者のフィリップ・モラン氏に話を聞いた。
ゲーム業界への道のり:映画からゲームデザインへ
モラン氏は1998年にユービーアイソフトに入社し、ゲーム業界への第一歩を踏み出した。当時、ゲーム業界はまだ黎明期で、映画学科を専攻していたモラン氏にとって、ゲームデザイナーという職種は未知の存在だったという。
「当時、ゲーム業界でキャリアを築けるとは思っていませんでした。映画学科を卒業した私は、脚本家としてユービーアイソフトに応募したんです。すると面接官から、『ゲームデザイナーとして面接を受けてみませんか』と言われました。ゲームデザイナーが何なのか、全くわからなかったんです」
映画のバックグラウンドを活かし、ゲーム内のカメラワークや行動デザインの専門家として頭角を現したモラン氏は、後にナウティードッグに移籍。代表作「プリンス・オブ・ペルシャ 時の砂」や「アンチャーテッド」シリーズの開発に携わった。その後、EAモントリオールで新規IPの開発に従事していた際、プロジェクトの中断を機に、同じく同社の共同創設者であるダビデ・シャトーヌフ氏、ユゴ・ダリエール氏と共に独立を決意した。
レッドバレルズ設立と「アウトラスト」の誕生
2011年、3人はレッドバレルズを設立。当初は3〜4ヶ月で資金を集め、ピッチを完成させる予定だったが、実際には1年半を要したという。その間、彼らは「アウトラスト」のコンセプトを練り上げていった。
「私たち3人は、人生の同じステージにいて、同じモチベーションを持っていました。EAのプロジェクトが中断されたことで、独立という選択肢が現実的になったんです。当初は短期間で終わると思っていましたが、結果的に1年半かかりました。その間、私たちは「アウトラスト」の核となるアイデアを磨き続けました」
2013年、待望のデビュー作「アウトラスト」が発売されると、その斬新なホラー体験と緊迫感あふれる演出がプレイヤーから絶賛された。同作は、当時としては珍しい、カメラを固定した一人称視点という手法で、ホラーゲームの新たな可能性を示したのだ。
シリーズの進化と今後の展望
「アウトラスト」はその後、2017年に続編「アウトラスト2」、2023年には共同プレイ専用の「アウトラスト・トライアルス」が発売され、シリーズは着実に拡大を続けている。モラン氏は、シリーズの成功要因について次のように語った。
「私たちが目指したのは、プレイヤーにとって忘れられない体験を提供することでした。ホラーというジャンルだからこそ、没入感と緊張感を高める演出が重要だと考えたんです。アウトラストは、カメラを固定することで、プレイヤーの視界を制限し、想像力をかきたてる手法を取りました。その結果、多くのプレイヤーが「自分が実際にその場にいるかのような」体験を得られたのだと思います」
今後のシリーズ展開について、モラン氏は「アウトラスト」の世界観をさらに深化させる構想があることを明かした。具体的には、新たなキャラクターや舞台、そしてこれまで以上にリアルタイムで展開されるストーリーの可能性について言及。また、VR技術を活用したホラー体験の実現にも意欲を示した。
「アウトラスト」シリーズは、今後もホラーゲームの新たな地平を切り開く存在であり続けるだろう。