米上院銀行委員会は15日、党議拘束のもと、ケビン・ウォーシュ氏(元FRB理事)の連邦準備制度理事会(FRB)議長就任に向けた指名を推進する決議を賛成12、反対10の賛成多数で可決した。同委員会の採決により、ウォーシュ氏の指名は本会議への上程が事実上確定した。今後数週間以内の本会議採決が見込まれている。
ウォーシュ氏は2024年1月にトランプ前大統領からFRB議長に指名されたが、共和党のティム・ティリス上院議員(ノースカロライナ州選出)の反対により手続きが停滞していた。ティリス議員は、連邦検察が退任を控えたパウエル現議長に対する捜査を続ける限り、ウォーシュ氏への支持を拒否すると表明していた。
パウエル議長、ティリス議員、および多くの民主党議員らは、この捜査を「トランプ前大統領の側近がFRB理事に金利引き下げ圧力をかけるための恫喝」と批判していた。
ティリス議員、捜査中止で支持に転換
連邦検察官ジャン・ピルロ氏は13日、パウエル議長に対する捜査を中止すると発表。これを受け、ティリス議員は直ちにウォーシュ氏支持に転じた。しかしピルロ氏は「必要であればいつでも捜査を再開する」と発言。民主党のエリザベス・ウォーレン議員(銀行委員会筆頭民主党員)はこれを受け、15日の採決で「誰も騙されていない」と批判した。
「トランプ氏はFRBの支配を目論み続け、自らの意に沿うまで虚偽の告発の脅しをちらつかせている。ウォーシュ氏の指名推進は、その象徴に他ならない」
— エリザベス・ウォーレン議員
ウォーシュ氏の独立性に対する疑問
前週の公聴会では、ウォーシュ氏のFRBからの独立性が主要な争点となった。激しい応酬の中で、ウォーシュ氏はトランプ前大統領との政策の相違点について一切言及を拒んだ。
ウォーレン議員は「ウォーシュ氏はトランプ氏の操り人形であり、2020年の選挙結果すら認められないほどに屈服している」と発言。ティリス議員はこれに対し「政治的得点稼ぎに過ぎない」と反論した。
ティリス議員は「捜査は終わった。彼女の主張は完全に間違っている」と述べ、ウォーレン議員の批判を否定した。
ウォーシュ氏の投資ポートフォリオとFRB時代の評価
ウォーレン議員はまた、ウォーシュ氏の巨大な投資帝国や、ブッシュ・オバマ両政権下でのFRB理事時代の「悲惨な」実績を批判した。ウォーシュ氏の財務開示書類によると、同氏の投資ポートフォリオは1億3000万ドル以上に上り、そのうち20以上が暗号資産関連企業への投資だった。具体的には、DeFiレンディングのCompound、デリバティブ取引プラットフォームのdYdXやLighter、そしてSolana、Optimism、Blast、Zero Gravityの4つのブロックチェーンプロジェクトが含まれる。
前週の公聴会でウォーシュ氏は、自身の独立性と、量的緩和よりも金利政策に重点を置く「政策体制の転換」を開始する意欲を強調した。リーマンショック以降、FRBは量的緩和政策により数兆ドル規模の米国債を購入し、経済に大量の資金を供給してきた。この政策は経済刺激には効果を発揮したが、インフレを助長したとの批判もある。
ウォーシュ氏の経歴と業界からの支持
ウォーシュ氏はスタンフォード大学経営大学院の講師を務めるほか、2006年から2011年までFRB理事を務めた経歴を持つ。暗号資産業界からは高い評価を受けており、ビットコイン推進派の実業家マイケル・セイラー氏はウォーシュ氏の指名を歓迎する発言を行っていた。