中国で1万ドル台の小型EVにLiDAR搭載が実現
中国のEV大手BYDは、小型EV「シーグル(Seagull)」の改良モデルを発表した。同車は欧州では「ドルフィン・サーフ(Dolphin Surf)」として販売されており、全長3,780mmのコンパクトなボディが特徴だ。
DiPilot 300:LiDAR搭載ADASシステム
最大の注目点は、LiDARセンサーを搭載したADASシステム「DiPilot 300」のオプション設定だ。同システムは、LiDARに加えてレーダーやカメラを組み合わせた先進運転支援システムで、市街地走行や信号待ちなどのシーンで運転をサポートする。完全自動運転ではないが、Teslaが主張するカメラ中心のシステムとは一線を画す技術と言える。
LiDARの優位性とコスト問題
LiDARは、カメラよりも距離計測や暗闇での物体検知に優れ、レーダーよりも詳細な情報を得られるセンサーとして、運転支援技術の「ゴールドスタンダード」とされている。しかし、欧米では10万ドル以上の高級車に限定されており、その理由はコストの高さにあった。
実際、BMWとメルセデス・ベンツは、かつて7シリーズやSクラスにLiDARを搭載したレベル3自動運転システムを導入していたが、最新モデルでは同技術を廃止。代わりに、運転者が常に注意を払う必要があるレベル2システムに注力している。レベル3システムは高速道路に限定されていたが、レベル2は市街地でもハンズフリー運転が可能なため、より実用的な選択肢と位置付けられた。
中国市場におけるLiDAR普及の背景
一方で、中国市場ではLiDAR技術の普及が進んでいる。シーグルのベースモデルは30.1kWhバッテリーを搭載し、航続距離は305km。価格は69,900元(約10,300ドル)からと手頃な設定だ。一方、DiPilot 300を搭載すると価格は90,900元(約13,400ドル)に上昇する。これは、LiDARセンサーのコストが大幅に抑えられていることを示している。
BYDによると、DiPilot 300はレベル2のシステムに分類されるが、将来的にはレベル3自動運転技術の導入も視野に入れている。同社は、シーグルのような小型EVであっても、数年後にはレベル3技術を搭載する可能性があるとしている。
新色やデザインの刷新も
シーグルの改良モデルでは、新たに「マンゴーオレンジ」と「ミントグリーン」の2色が追加されたほか、16インチの「スターライトホイール」やLEDテールランプのデザインも刷新された。パワーユニットは74馬力(55kW)のままで変更はない。
LiDAR技術の今後:コスト削減が鍵
LiDAR技術は、運転支援システムの精度向上に不可欠な存在だが、そのコストが普及の障壁となっていた。しかし、中国市場ではBYDをはじめとするメーカーが、小型EVへの搭載を実現しつつある。今後、技術の進化とともにコストがさらに下がれば、欧米市場でもLiDAR搭載車の普及が加速する可能性がある。
BMWとメルセデスがLiDAR技術を一時的に見送った背景には、コストと実用性のバランスがあった。しかし、中国市場の動向は、自動運転技術の未来を占う重要な示唆を与えている。