最高裁が審理したモンサント社の訴訟

米国最高裁判所は11日、モンサント社(バイエル傘下)を巡る「モンサント社対ダーネル事件(Monsanto Co. v. Durnell)」の口頭弁論を審理した。憲法学者には関心が薄いとされるこの事件だが、企業界にとっては重要な争点が含まれている。

原告のダーネル氏は、モンサント社の除草剤「ラウンドアップ」が健康被害を引き起こしたとして、125万ドルの損害賠償を求めた。一方でモンサント社は、米環境保護庁(EPA)が追加警告を義務付けていないことを理由に、州法に基づく損害賠償請求は連邦法に優越される(連邦優越性)と主張した。

連邦優越性を巡る判事の見解

口頭弁論前に、原告側が勝利する可能性は低いと予測されていた。連邦優越性の解釈は、保守派判事の間でも見解が分かれるためだ。特に、連邦主義を重視するトーマス判事は、連邦優越性に懐疑的な立場を取ることが多い。その一方で、カバノー判事やロバーツ長官、アリト判事は、モンサント社のような企業への経済的影響を懸念し、広範な連邦優越性を支持すると見られていた。

バレット判事の立場は不透明だったが、カガン判事は連邦法の一律適用を重視し、広範な連邦優越性を支持する可能性があった。しかし、口頭弁論を聞いた結果、予測通りの判断が示された。ポール・クレメント弁護士の主張にもかかわらず、モンサント社に5票を確保できるかは不透明だ。

「ローパー・ブライト事件」が示唆するもの

今回の審理で注目されたのが、2024年6月に下された「ローパー・ブライト事件(Loper Bright Enterprises v. Raimondo)」判決だ。この判決では、連邦裁判所が法律の解釈権を持つことが明確化され、行政機関の裁量的解釈に対する司法の優位性が示された。

では、この判決は連邦優越性の解釈にどのような影響を与えるのか。連邦法が州法に優越するかどうかは、議会が法律で明確に定める場合に限られる。しかし、行政機関が規則で州法を優越させる場合、その効力はどうなるのか。従来の「シェブロン・ドクトリン」では、行政機関の解釈に司法の尊重が求められたが、ローパー・ブライト判決後は、法律の解釈権は裁判所に移る可能性が高い。

つまり、州裁判所が連邦法の解釈を通じて連邦優越性を判断できるのか、それとも行政機関の規則に従うのかが、今後の焦点となる。ローパー・ブライト判決は、法律の解釈権が裁判所にあることを示唆しており、州裁判所が連邦優越性を判断する可能性が高まっている。

今後の展望

今回の審理では、原告側の弁護士に対する質問が少なかったことから、判事たちの関心が薄れていた可能性も指摘される。一方で、アリト判事は「ローパー・ブライト」に関する議論で発言を活発化させた。この事件が今後の連邦優越性の解釈に与える影響は計り知れない。

最高裁の判決は数ヶ月後に下される見通しで、企業や法律専門家の間で注目が集まっている。

出典: Reason