気候変動対策として世界中で数十億ドル規模の資金が拠出されているにもかかわらず、そのほとんどが先住民族に届いていない。国連も先住民族の重要性を認める一方で、資金の流れは追跡されていない。
先住民族の代表らは、洪水や山火事などの被害に直面しながらも、気候資金への直接的なアクセスを求めている。
国連も認める先住民族の重要性
先月ニューヨークで開催された国連先住民族問題常設フォーラムで、アントニオ・グテーレス国連事務総長は先住民族に対し、「あなたは自然の偉大な守護者であり、生物多様性保全の生きた図書館であり、気候行動のチャンピオンだ」と述べた。しかし、実際の資金の流れはその言葉に追いついていない。
気候資金の99%以上が先住民族に届かず
2011年から2020年にかけて、土地所有や森林管理に関わる先住民族・地域社会は、気候変動対策・適応のための世界資金の1%未満しか受け取っていないと、ノルウェー・レインゴールド財団の分析で明らかになった。
先住民族はしばしば「地域社会」と一括りにされてきたが、国連専門家らはこれを区別するよう求めている。
「私たちは慈善を求めているのではありません。特権を求めているのでもありません。これは私たちの権利の問題であり、社会正義の問題です。私たちが引き起こしていない気候変動の影響に適応するための権利です」
資金不足が招く苦渋の選択
気候危機により、先住民族の指導者らは深刻な選択を迫られている。災害後の家の再建か、祖先の土地からの集団移住か。こうした決断は資金不足によりさらに困難になっている。国際裁判所も気候変動被害者への賠償金支払いを認めているが、実行は進んでいない。
「私たちは森を守り、生物多様性を守っています」と語るのは、ホンジュラス出身の先住民族ミスキートのデボラ・サンチェス氏だ。彼女は2021年に設立された「コミュニティ土地権利・保全資金イニシアチブ」の代表を務める。
「コミュニティの権利が実現すれば、持続可能な未来への基盤が整います」
グリーン気候基金も先住民族への資金提供なし
パリ協定で指定された公的な地球規模の気候基金「グリーン気候基金(GCF)」は、200億ドルのポートフォリオを有する。しかし、先住民族組織がGCFから資金を受け取った実績はないと、GCFの先住民族諮問委員会メンバーで先住民族カダクラン・イゴロットのヘレン・マガタ氏は指摘する。
同委員会は2022年に設立されたが、いまだに先住民族への資金提供は実現していない。