米連邦控訴裁判所(D.C.巡回区)は昨年11月、天然ガスを燃料とする家庭用暖房機器および業務用給湯器のエネルギー効率基準をめぐり、非凝縮型機器の市場流通を事実上禁止する判決を下した。同判決は、「シェブロン原則」の時代であれば一定の合理性があった可能性もあるが、現在の司法解釈基準である「ローパー・ブライト判決」の考え方とは整合性が取れないとの指摘がなされている。
当時、トランプ政権がなぜこの判決を放置したのか疑問視する声があった。同政権は、エネルギー省(DOE)が基準を見直す間、判決を一時停止するようD.C.巡回区に要請することも可能だったが、実行に移さなかった。
今年1月、産業団体連合が「アメリカン・ガス・アソシエーション対DOE」事件で、最高裁に上告受理を求める申立てを行った。これを受け、法務次官は26日、最高裁に対し、D.C.巡回区の判断に誤りがあるとして、事件を差し戻すよう求める回答書を提出した。
法務次官の回答書によると、DOEが2021年12月に示した解釈規則および省エネ基準は、「エネルギー政策・消費者保護法(EPCA)」における「性能特性」の定義を狭く解釈しすぎていると産業団体が主張。政権交代後、政府もこの主張に同意している。このため、最高裁は上告受理を認め、下級審の判決を破棄して再審理に差し戻すよう求めている。
この要請が認められれば、D.C.巡回区に対し、法令解釈をより厳格に行うよう促すメッセージとなり、ラオ判事の反対意見を支持することにもなる。また、トランプ政権が基準の撤回や修正に多大な時間と労力を費やす必要がなくなるという利点もある。昨秋に指摘された通り、D.C.巡回区の判決は、同政権が基準を撤回または変更する際の法的根拠を脆弱にする可能性があった。最高裁による差し戻し命令は、この問題を解決する有効な手段となる。