米国各地で、移民当局による催涙スプレーや胡椒スプレーの使用が激増し、少なくとも79人の子どもが被害を受けたことが明らかになった。子どもたちは通学中、買い物中、自宅にいる際、あるいは抗議デモに参加していた際に被害に遭った。
催涙ガスは学校や住宅街、家族の車内にまで及んでおり、ぜんそくのある少年は呼吸困難に陥り、幼い少女は「痛い!」と叫びながら泣き出し、乳児は呼吸が止まる事態にまで発展した。
当局の主張と動画が示す実態
国土安全保障省(DHS)は、催涙スプレーや胡椒スプレーの使用について「扇動者」や「子どもを危険にさらす親」の責任だと主張している。しかし、プロパブリカの調査により、当局の実態が明らかになった。
- 抗議デモでの使用:当局が少なくとも7人の子どもがいる群衆に向けて催涙ガスを放出した動画では、誰かが「子どもがいる!」と叫んでいる。また、抗議者に対して無差別に催涙ガス弾を投げつける様子も確認された。
- 車内への発射:移民・関税執行局(ICE)施設前の抗議で、当局が家族の車の運転席側窓から胡椒スプレーを発射し、後部座席の1歳の女の子に直撃させた。その様子を記録した動画では、少女が泣き叫び、呼吸困難に陥っている様子が映っていた。DHSはこれを「でっち上げ」と主張したが、現場にいた牧師は「動画の証拠がある」と反論した。
歴史的な弾圧と法的問題
こうした当局の行動は、公民権運動時代の南部における暴力的な弾圧に匹敵すると歴史家から指摘されている。また、各地の裁判所はICEやCBP(税関・国境警備局)による過剰な武力行使を厳しく批判し、子どもを含むリスクを「意図的な無関心」と表現した。
一部の裁判所は、訴訟対象地域での武器使用制限を命じたが、全国的な規制には至っておらず、他の地域でも子どもたちが被害に遭い続けている。
当局の責任と今後の展望
プロパブリカの調査により、当局の主張と実態の乖離が浮き彫りになった。動画や証言は、当局が子どもたちの安全を軽視している可能性を示唆している。今後、化学兵器の使用に関する法的・倫理的な議論がさらに加速することが予想される。
出典:
ProPublica