米国最高裁判所は1月13日、テキサス州の選挙区割り再編計画を巡る異例の判断を発表した。同州の選挙区割りが人種を動機としたものと判断した3人裁判官パネルの判決を、最高裁が突如として破棄するという異例の措置が取られた。
この事件は、2023年11月にテキサス州南部地区の3人裁判官パネルが、同州の選挙区割り再編計画が人種差別的動機に基づくものと判断し、選挙区の再編を命じたことに端を発する。判決文は、トランプ大統領が任命した判事ジェフリー・ブラウンが主に執筆したとみられる多数意見に、同じくレーガン大統領が任命した判事ジェリー・スミスが激しい反対意見を表明した。
スミス判事の反対意見は「シートベルトを締めてください。荒れ模様の夜になります」と始まる強い調子のもので、その後の展開を予見させる内容となった。テキサス州の法務官であるウィル・ピーターソンは、この判決に対する緊急差し止めを最高裁に申請。最高裁は同年12月4日、6対3の賛成多数で緊急差し止めを認める決定を下した。
この決定では、選挙が既に開始されていた時期に地区裁判所が判決を出したことなどが考慮された。また、地区裁判所が「立法府の善意の推定」を尊重せず、州議会の主張に不利な解釈をしたことや、州側の党派的目標を満たす代替案を提出できなかった当事者に対し、十分な不利益推定を行わなかったことが、州側の主張が「実質的に勝訴の見込みがある」理由として挙げられた。
最高裁はスミス判事の詳細な反対意見を数行にまとめ、この決定により選挙区割りは2026年の中間選挙に適用されることとなった。ただし、この措置は暫定的なものであり、事件はなお継続中だ。
「義務的管轄権」に基づく審理
テキサス州は通常の手続きに則り、地区裁判所の仮差し止め命令に対する異議を申し立てた。1月13日には「管轄権確認申立書」を提出。通常の事件であれば最高裁が裁量で審理の可否を判断する「調査命令」を求めるが、選挙区割り訴訟の場合は議会が「義務的管轄権」を定めており、最高裁は自動的に審理に着手することが義務付けられている。
テキサス州側は、事件の「管轄権確認」を求めたが、州は最高裁に対し、事件を即時破棄するよう求めていなかった。むしろ州側は、口頭弁論を通じて「アレクサンダー問題」と呼ばれる論点の明確化を求めた。具体的には、原告側が求める仮差し止め命令の取り消しや、最終判決後の控訴まで審理を遅らせることなどが挙げられる。
地区裁判所の判断に重大な誤りがあり、即時破棄が妥当とみられる一方で、最高裁は今後の同様の事案に対する指針を示す必要があると州側は主張。選挙区割り訴訟における仮差し止め命令の基準は重要な論点であり、誤った判断が選挙の混乱を招く可能性があると指摘した。
州側は、アレクサンダー判例の代替案要件や立法府の善意の推定が、仮差し止め命令の段階でも等しく適用されるべきだと主張。これらの基準が正されなければ、今後も同様の誤りが繰り返される可能性があると訴えた。