先週の米連邦控訴裁判所の判決をまとめた週刊コーナー「ショート・サーキット」の最新版が公開された。本稿は、非営利法曹団体「インスティテュート・フォー・ジャスティス(IJ)」のメンバーが執筆を担当している。
最高裁が「サンバレー・オーチャード事件」の審査を開始
月曜日、米最高裁は「サンバリー・オーチャード社」に関する事件の審査を開始すると発表した。同社は2015年以降、労働省からペナルティの対象とされていたが、IJの支援を受けて争い、昨年には第三巡回区控訴裁判所が労働省の内部裁判所が憲法違反であるとの判断を下した。今回の最高裁による審査は、この判断を全国に拡大する機会となる可能性がある。
公益通報者保護の解釈を巡る攻防
新たに公開された「ショート・サーキット」ポッドキャストでは、以下のような注目判決が取り上げられている。
公益通報者の報奨金申請を巡るSECの判断
大手企業の不正行為をメディアに告発した公益通報者が、米証券取引委員会(SEC)からの情報提供依頼を受けた後、報奨金申請を却下された事例。SECは「自発的な情報提供」と認めなかったが、控訴裁判所は「SECが情報提供を求めた経緯を考慮すれば、申請を却下する正当な理由がない」と指摘。SECに対し、要件免除の可能性とその理由を説明するよう命じた。
障害者差別に関する判決
リンパ腫を患うメイン州在住の男性が、電力会社を相手取り、障害差別に当たるとして提訴。同社がスマートメーターの使用を義務付け、旧式メーターの使用に対して追加料金を課していたことが問題視された。スマートメーターが発する電波が自身の病状を悪化させるという主張に対し、第一巡回区控訴裁判所は「因果関係の立証が不十分」と判断した。
警察の過剰使用に関する判決
- サウスカロライナ州コロンビア市の事例:COVID-19初期のロックダウン中、警官が路上を歩く少年を追跡。少年は拳銃を所持していたが、誰にも向けられておらず、警官は9発の発砲を行い、最終的に forehead(額)に致命傷を与えた。第四巡回区控訴裁判所は「逃走する容疑者に対する致死力行使は、即時の脅威がない限り許されない」と判断し、警官に対し「公的免責特権(qualified immunity)」を認めなかった。
- バージニア州チェスターフィールド郡の事例:医療的発作を起こした男性が、義足を装着した状態で中古車販売店に侵入。警察到着後、男性は胎児の姿勢(fetal position)でうずくまった。警官が「コナ」という名の警察犬に襲撃させ、義足と身体に重傷を負わせた。地裁は「警告を行った」として公的免責特権を認めたが、控訴裁判所は「胎児の姿勢が危険を示すとは考えにくい」と判断し、判決を覆した。反対意見では「本件は野球のバットを巡る事例と同等と扱うべきではない」と指摘された。
その他の注目判決
- 北カロライナ州ローリー市の事例:深夜に自転車を乗り回す男性の事例。同市は同種の行為に対する条例を制定していたが、控訴裁判所は「条例の適用が憲法上の権利を侵害する可能性がある」と指摘し、差し戻しを命じた。
- ステフィン・カリー選手のフリースロー確率と差し止め命令:第四巡回区控訴裁判所は、カリー選手のキャリアフリースロー成功率(91.2%)を基に、10本連続で成功する確率(39.8%)を算出。これは差し止め命令に関する反対意見の中で引用されたが、反対意見はこの計算を「神のご加護による特性」と皮肉った。
IJの活動と今後の展望
IJは今年で14回目の「ショー(The Show)」への参加を控えている。同団体は、個人の権利擁護を目指す活動を展開しており、今回の最高裁による審査開始は、その活動の一環として注目を集めている。