1970年代にル・マンの観客を驚かせたNASCARストックカーが、47年ぶりにフランスの名門サーキットに戻ってくる。「ル・マンクラシックレジェンド」の一環として開催される「HSR NASCAR Classic Presented by Goodyear」シリーズに、30台のストックカーが参戦する。
レースは7月4日週末に行われ、現在、30台の車両はパレットに積まれ、5月初旬に出荷されるコンテナに待機中だ。車両はオランダに到着後、6月下旬に陸送でル・マン・サーキットへ輸送され、テストや予選、3レースの35分間スプリントに備える。
元NASCARカップシリーズドライバーのジョー・ネメチェク(62)は、このレースについて「展示レースだが、一生に一度のチャンスだ」と語る。ネメチェクは、現役カップシリーズドライバーで息子のジョン・ハンター・ネメチェク(42号車 Dollar Tree Toyota)を擁する名門チームのオーナーでもあり、自らもHSRストックカークラスの有力候補と目されている。
ネメチェクのチーム、NEMCO Motorsportsは、今回のル・マン遠征に14台のストックカーを送り込む。通常のレースでは6〜8台を輸送する同チームだが、今回は徹底した準備を行う。13人のメカニック、14基のトランスミッション、15個のリアエンドギア、120本のホイールに加え、予備エンジン、ショック、スプリング、キャブレターなどの交換部品を携行する。
ネメチェクは「NASCARで20年以上レースをしてきた経験から、最も重要なのは信頼性だ。完走しなければならない。どのパーツが壊れるかを把握し、壊れないように修理する技術が必要だ」と語る。また、遠征にあたり「パーツがなければ、遠くまで行けない」と準備の重要性を強調した。
こうした徹底したメンテナンス体制は、ネメチェクが4〜5年前にヴィンテージレースに参戦し始めた際に培われたものだ。かつて友人のレースを手伝った際、「多くの車が故障してレースに出られない状況を見て、これは問題だと思った」と振り返る。NEMCO Motorsportsでは、フレームやボディの修理を含め、自社であらゆる修理を行う体制を整えている。
今回のル・マン遠征では、さらに細かな準備が必要だ。欧州の電力網は50Hzで稼働しており、米国仕様の車両との電気系統の互換性に配慮が求められる。ネメチェクは「すべてのパーツが正常に動作するか、事前に徹底的に確認している」と述べ、レース成功に向けた万全の体制をアピールした。